イベントルポ「ヒバクシャ国際署名のあゆみと、これから」

2020.08.24

最終集約へ向けて

8月12日にオンラインイベント「ヒバクシャ国際署名のあゆみと、これから」を実施しました。例年であれば、全国のヒバクシャ国際署名連絡会の方々が広島か長崎に集まり(毎年交互に開催地を決めていました)各地域の報告などを行っていたのですが、今年は新型コロナウイルスの影響でオンラインで集まれる場を作りました。2016年4月から始まったこの活動は、今年の9月末に署名の最終集約となります。

ヒバクシャ国際署名は中央の連絡会に48団体が参加し、27都道府県で地域連絡会が発足しています。全国のネットワークや、各団体の繋がりを生かして、これまでに1184万3549人以上の署名を集めています。(2020年3月末現在)また、1263の市町村区長からの署名と、20の都道府県知事の署名をいただいています。

各地域の方々からそれぞれの地域での署名活動や想いなどを伺いました。

ヒバクシャ国際署名連絡会代表の田中照己さん

2010年のNPTで原爆の非人道性が話されるようになってから、核兵器廃絶に向けての議論が盛り上がってきたように思います。しかし、2015年のNPTで最終合意ができなかったことに焦りを感じました。このときに「もっと盛り上がるような運動をしないといけないのでは?」という想いに駆られ、被爆者が核兵器禁止条約の成立を訴える署名活動を2016年に始めることになります。

被爆者の平均年齢もあがり、これからの運動は被爆者が先頭に立つのではなく、被爆者が中心となって、若い人が先頭に立って広がる運動になるべきだと思っています。それがこの署名活動です。今年は新型コロナウイルスの影響でオンラインでの証言活動を広げています。

核兵器禁止条約は8月9日の段階で44ヵ国が批准し、残り6ヵ国で発効になります。今年中の達成を目指して、皆さんと一緒に頑張っていきたいと思います。高齢化している被爆者も元気が出ておりますので、これからもいろんなところで証言活動をやっていきたいと思っております。

ヒバクシャ国際署名をすすめる長崎県民の会

長崎では被爆者の団体5つが集まって、呼びかけ団体となっています。2016年5月27日にオバマ大統領が広島を訪れた日に、この活動をスタートさせました。

長崎のうたごえの会がこの署名活動のための歌をつくり、浜の町アーケードでの署名活動は日々歌声があふれています。また、22ある自治体のうち21の自治体の首長からの署名を頂きました。毎月街頭署名を行い、市長などにも参加してもらったり、節目ごとにイベントを行っています。現在は平和公園近くの被災協の事務所に集めた署名数を張り出し、毎週更新しています。目標の50万筆まで、残り14983筆になりました。なんとしても来月末までに達成しようと頑張っています。

長崎県民の会 Facebookページ

ヒバクシャ国際署名をすすめる岩手の会

2016年12月に発足し、現在までに19万2000筆を集めています。加盟団体が68あるので、さまざまなアプローチから署名を集められています。岩手の被団協の会員は19人で、平均年齢は88歳です。日本政府が核兵器禁止条約へ署名・批准することを求める請願は岩手の33全ての市町村で可決されました。これには丸3年かかりました。中学、高校の教職員組合もこのネットワークに参加しているので、高校生平和大使の方と企画を作ることもできました。県民に最後まで訴え、目立つような「閉じ方」を検討しています。

岩手の会 詳細ページ

兵庫被団協

現在、32万筆を超えた署名を集めています。兵庫では早い段階で県知事から署名を頂きました。それに続いて、ほとんどの首長も署名しています。これによって運動のイメージが膨らんだと思います。そこで、首長や県知事さんが署名したことをアピールするポスターや署名用紙を作り、さらに県民のみなさんに訴えてきました。また、宗教会にも積極的に赴いたり、自民党議員にもお話し、署名を頂いています。兵庫では地域連絡会が発足していませんが、被団協を中心に多くの団体が支えてくれています。

ピースプラットフォーム森さん

被爆者の方と一緒に各宗教団体へ訪問し、面談を行いました。2019年の秋には59の宗派、106団体が加盟している「全日本仏教会」がヒバクシャ国際署名への協力を表明し、大きな勇気となりました。残り短い期間ではありますが、今後も訴え続けていきます。この運動の流れと繋がりを今後も生かせていけたらと思います。

若者を代表して、今年のNPT再検討会議へ派遣される予定でだったユースのお二人にもそれぞれの活動や想いなどを話してもらいました。

慶応義塾大学2年生高橋悠太さん

新型コロナウイルスで外出が制限されている中で、4回のオンライン証言会をやってきました。このオンライン証言会の特徴は3つです。1つ目は毎回50人程度の小学生から大学生までの学生が参加していることです。大人が70人程度参加しているので、毎回100人以上が被爆者の話を聞いています。学生はzoomで参加しているので、被爆者と直接お話することができ、オンラインだけど1対1で話してる感覚になるので、質問の数もどんどん多くなっていっています。2つ目は同世代の若者が各地から集まっているので、色んな感覚に触れることができます。3つ目は「私にはなにができますか?」というような質問が毎回出るのですが、被爆者の方は若者の活動を後押しするような言葉をかけてくれます。

カクワカ共同代表田中美穂さん

去年の夏にヒバクシャ国際署名の海外向けの動画作成から関わるようになりました。

カクワカ広島では、広島選出の国会議員の方に核政策について聞き取りをしています。広島選出の議員は16人いますが、そのうちの8人の方と面会ができています。聞いた意見はSNSで発信しています。選挙の時期には、候補者の方に聞き取りをし、核政策についてどう考えているのかを分かりやすく見やすく発信しています。最近広島銀行が各産業に融資しないという声明を出したので、そういったダイベストメントにも力を入れていこうと思っています。

カクワカ 広島の詳細はこちらから

 

今までこの活動に関わってきてくださったみなさんの活動を共有でき、残り1か月をどのように使い、さらに署名を広げていくのかのヒントになったのではないかと思います。ヒバクシャ国際署名の最終集約は9月18日です。それまでに1筆でも多くの賛同の声をいただき、核兵器禁止条約の発効を目指して頑張っていきます。

このイベントはYoutubeで配信しています。

https://www.youtube.com/watch?v=r2R0M5TVuVk

 

NEWS

私も署名しました

坂本龍一

ミュージシャン

清水まなぶ

ミュージシャン/俳優

サチャ・ヨレンティー

ボリビア国連大使

四角大輔

作家、プロデューサー、冒険家

ヤン・キッカート

オーストリア国連大使

クリフトン・ダニエル

米国第33代大統領ハリー・S・トルーマン孫

デニ・ムクウェゲ

婦人科医、人権活動家。2018年ノーベル平和賞受賞者