【イベントルポ】核兵器禁止条約発効で世界はどう変わる?

2020.11.17

【イベントルポ】Choose Life Projectコラボ企画 核兵器禁止条約発効で世界はどう変わる?

みなさんこんにちは。ヒバクシャ国際署名スタッフの鈴木慧南です。

10月30日、核兵器禁止条約50ヵ国批准を受けて、夏にもコラボ企画をしたChoose Life Projectと配信イベントを行いました。夏に引き続き「決断すれば今日から核はなくせる。」のタイトルのもと、核兵器禁止条約発効で世界がどう変わるのかを登壇者にお話いただきました。

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ナビゲーター
安田菜津紀さん/フォトジャーナリスト

登壇者紹介

◆濱住治郎さん(広島で胎内被爆)/日本被団協事務局次長

◆和田征子さん(1歳10か月のときに長崎で被爆)/日本被団協事務局次長

◆川崎哲さん/国際NGO 核兵器廃絶キャンペーンICAN国際運営委員

◆東ちづるさん/俳優、一般社団法人Get in touch代表

手話通訳士

森本行雄さん、草野真範さん

核兵器禁止条約50ヵ国批准達成を受けて思うこと画像

和田さん

広島、長崎を経験した被爆者が「ふたたび被爆者をつくるな」ということで、64年前に被団協を結成し、「自らを救うとともに、世界を救う」という決断をしました。その決断をするのに世界は75年かかりました。

私たちの運動を支えてくださった国内外のみなさんに感謝を申し上げたいと思います。ですが、まだこれからだと思っています。

濱住さん

私は胎内被爆者です。8月6日の朝、父親は仕事にいったきり原爆被害にあい、父を全く知らずに育ちました。核兵器禁止条約の発効を父に報告したいです。2019年の5月に国連の議長にヒバクシャ国際署名を手渡しましたが、そういった積み重ねによって、条約発効につながったことがとても嬉しく思っています。

東さん

50ヵ国批准達成を聞いて、ピースボートと核保有国のフランスで被爆者の証言を聞いたり、国連に行ったりした時のことを思い出しました。25年前に被爆者の方にインタビューをする仕事して出会った方々は、語り部のとき以外は話したくないと仰る方がほとんどでした。「その辛さから解放される日はいつなんですかね?」と訪ねたときに、その方は「私が死ぬときか、核兵器がなくなるときです」と仰りました。それからたくさんの方が亡くなったので、発効のことをみなさんに伝えたいなあと思うと同時に、ここからだなと思います。

日本政府が未だに核兵器禁止条約に署名、批准をしていないことについて

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濱住さん

被爆者にとって核兵器を認めるということは絶対にできません。認めるということは、核兵器を必要悪として容認することになります。被爆者にとって、核兵器とは、8月6日、9日見たきのこ雲以外のなにものでもありません。

和田さん

日本被団協として何度も外務省に請願に行っているのですが、「究極的な目標は同じだけども、アプローチの方法が違う」といつも仰います。今年の3月に茂木外務大臣が「核兵器禁止条約に法的な理由で入れないわけではない」と発言しました。つまり日米安全保障条約を結んだまま核兵器禁止条約に入ることは法的には可能だけど、政治的な判断で政治的に入らないということなんです。

川崎さん

核兵器禁止条約は条約の中で発効から1年以内に締約国会議を開くことになっています。その時に、非締約国やNGOなども招待され、オブザーバーで参加することができます。日本政府の中で、今すぐ条約に参加できなくとも、オブザーバー参加くらいはしたほうがいいという意見が政権与党の中からも出てきており、菅総理は「慎重に見極める」と仰っていました。当然それくらいは参加するべきだと思います。

バトンを手渡していくことについて

和田さん

今年はコロナ禍だったにも関わらず、オンラインでいろんなところに呼んでいただいて、話をするチャンスがありました。一人一人の声を国民運動として届けなければいけないと思います。日本政府に声高に要求する必要がありますので、核兵器のことを一人一人が自分事として考えるようにならないといけません。私も記憶のないものですから、そういった意味では戦後生まれの方と一緒だと思っています。

濱住さん

私は胎内被爆者なので、一番若い被爆者です。そういった意味で、記憶のない方と一緒だと思っていますが、胎内で被爆をすることとはどういうことだろう、と考えてもいます。40歳で亡くなった学校の先生がおりまして、その方が「胎内被爆者は生まれる前から《被爆者》という烙印を押されていたんだ。」と仰って、お子さんを残して亡くなりました。そのときに、被爆者は被爆者の体験を伝えていかないといけないんだと強く思いました。最近では若い人たちが、被爆者と語るカフェみたいな形で4,5人で集まる場所を作ってくれ、大人数を前に話すときとはまた違った個々の繋がりができました。そういう場が広がっていくことで、被爆者の悩みや生き方を知ってもらえたらと思います。

 

この他にも、核兵器開発に投資している銀行の話や、核兵器はなくならないと言われ続けた被爆者の想いなど、ぜひ「今」聞いてほしいお話がたくさんありました。こちらの配信はChoose Life ProjectのYoutubeから見ることができますので、ぜひご覧ください。

核兵器禁止条約は1月22日に発効します。あの日、きのこ雲の下で亡くなった全ての方と、75年もの長い間「核兵器はいらない」と訴え続けてきた被爆者の方々の想いが形になったといくことです。未だに日本政府は核兵器禁止条約への署名・批准をを表明していませんが、今後も日本政府を含め、全ての国が署名・批准することを求めて活動をしていきます。

◆配信全編はこちらから

https://www.youtube.com/watch?v=DeNai-75dRQ

◆Choose Life Projectとは

Choose Life Projectはテレビの報道番組や映画、ドキュメンタリーを制作している有志で始めた映像プロジェクトです。様々な社会問題についてタイムリーなweb番組を配信しています。

Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCmNMnTpz7kk_D3oGcx1XvrQ

NEWS

私も署名しました

安田菜津紀

フォトジャーナリスト

イメージなし

瀬戸内寂聴

作家、僧侶

クリフトン・ダニエル

米国第33代大統領ハリー・S・トルーマン孫

イメージなし

池辺晋一郎

作曲家

イメージなし

アーサー・ビナード

詩人

デニ・ムクウェゲ

婦人科医、人権活動家。2018年ノーベル平和賞受賞者

いとうせいこう

クリエイター