ローマ教皇のメッセージを受けた被爆者の記者会見

2019.11.24

ローマ教皇のメッセージを受けた被爆者の記者会見

11月24日、ローマ教皇が長崎・広島を訪問し、世界に向けてメッセージを発信しました。

長崎では、教皇のメッセージを受けて被爆者が記者会見を行いました。

記者会見の発言をまとめました。

 

私たちが試されているんだと感じた

田中 煕巳(日本被団協 代表委員)
核兵器の問題で日本にどうしろというのはなかったが、核兵器を拡散させないための明確の述べてくれた。核兵器だけでなく現在の世界の困難な状況から脱却しないといけないというメッセージ。お互い信頼関係がないから核で抑止力を持とうとしている現在の世界に警鐘を鳴らし、それゆえ信頼を築くべきだとおっしゃった。これからの人類に対して警告だった。

田中重光(長崎原爆被災者協議会 会長)
世界全体のことを考えたメッセージだった。信頼と疑惑。信頼を築いて世界を平和にしていかないといけないと感じた。今日のように教皇は嵐を呼ぶ。まさに私たちが試されているんだと感じた。

木戸季市(日本被団協 事務局長)
教皇の長い祈りに感動した。

横山照子(日本被団協 代表理事)
対話で進めていこうという、普通の人が思っていることを普通におっしゃってくださった。

記者からのQ&A

私たちが試されているとおっしゃったがそれはどのようなことで試されているのでしょうか?

田中(重)

トランプ大統領や環境問題、そしてイランの核合意脱却。世界に影響を与えるアメリカの大統領が、今まで人類が積み上げてきたものをなくしていっている。それゆえ試されていると思う。私たちの平和運動も試されている。世界の中で必要のない人はいないんだと言われていた。平和活動を続けていくしかない。

みなさんの意見を代弁してくれた意義は何か?

田中(煕)
信頼を築くことが大切だということに共感。バチカンは世界中の教会の先頭に立って最初に批准してくれた国でもある。今日改めて核兵器禁止条約への決意を感じた。カトリックだけでなく、各宗教の指導者は本来は先頭に立つべきだと思う。正直に言えば、もう少し署名や批准への呼びかけへのメッセージを期待していたが、世界の指導者たちが実行していくことを望みたい。

今回のローマ法王来崎はみなさんの活動にどんな影響があるか?

田中(煕)

ローマ法王がみなさんを諭すように言ってくれたことは非常に大きな力になる。やはり対話が必要だということを強く感じた。そしてメッセージはとても私たちの励ましになった。

田中(重)
私たち被爆者と考えが変わらないことを知れた。そのことはとても大きかった。

資料館を見る時間がなかったことはどう思うか?

木戸
実際、教皇だけでなく多くの指導者にも資料館に行ってほしい。ただ今回の教皇様のハードスケジュールには驚いた。体力がないととても教皇はできないと感じた。お祈りの長さで非常に気持ちは伝わったので、そこまで教皇様には求められない。実は手紙を教皇に渡したいと思って胸にしのばせてきたがとても渡せる状況ではなかった。バチカン大使館に出したい。

田中(煕)
オバマさんとは違う。どういう心境で爆心地公園に行ったか考えた。その上でよく来てくれたと思う。大変素晴らしい印象。

これからの活動はどうするか?

木戸
これはヒバクシャにとってとても大きな問題になっている。事実、どんどんとヒバクシャはいなくなっている。被団協の運動は終わるのか?終わらないのか?という大問題に直面している。被爆者はあの時(被爆当時)何を思ったか。

私は5歳ながら理屈なしに核兵器はいけないと思った。その時の私を返してくれという思いが、今では願いに発展している。そして今後、誰にもヒバクシャになってほしくない。それゆえ核兵器をなくさないといけない。この運動が日本国民、そして世界市民の運動として受け継がれていってほしい。そのためにどういう運動を作っていくのか、来年練り上げていかないといけない。

横山
核兵器禁止条約が批准されたとしても核保有国は核兵器を手放さない。それを手放させることが次の活動。核保有国に対しての運動をしないといけないと思う。

田中(重)

仏教界も動き出している。静かだけど大きなうねりが起こっている。

田中(煕)
自分の被災した場所で教皇の話しを聞けたことはとても大きなことだった。

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