【イベントルポ】「核なき世界へスタート!」
2021.02.02【イベントルポ】「核なき世界へスタート!」
1月22日に核兵器禁止条約が発効されたことを記念して、23日に東京、広島、長崎での同時イベントを実施しました。広島と長崎の会場には、被爆者の方々や、活動を支えてくれていた方々が集まり、条約発効を祝いました。
冒頭、国連事務次長・軍縮担当代表の中満泉さん、国連核兵器禁止条約交渉会議議長のエレイン・ホワイト・ゴメス コスタリカ大使、赤十字国際委員・総裁のペーター・マウラーさん、ICAN事務局長のベアトリス・フィンさん、広島の被爆者のサーロー節子さんから届いたメッセージ動画が上映されました。
ヒバクシャ国際署名連絡会代表の田中煕巳さん
イベントの開会にあたり、被爆者を代表して田中さんが条約発効の喜びと、今後も核兵器が廃絶させるまでの道のりを進み続ける覚悟を語りました。
「2010年以降、核兵器の非人道性に注目が集まってきた。そこからここまできたことが嬉しい。しかし、日本が批准していないことが悔しい。青い地球を未来に残すため、進み続けましょう。」
核兵器廃絶のためのさまざま取り組み
日本反核法律家協会理事の田部知江子さんより、この間の核兵器廃絶のためのさまざまな取り組みついて報告がありました。
「このイベントの共催であるヒバクシャ国際署名は2016年にスタートし、1300万以上の署名を集め、国連へ提出しました。コロナ禍でなかなか対面での証言会が出来ない中、オンラインでの証言会を積極的に行い、被爆者の方の想いを届けてきました。もう一つの共催団体である核兵器廃絶日本NGO連絡は2010年に発足し、核軍縮を求めて政府との意見交換会を定期的に行っています。」
次に中継を広島につなぎ、さまざま方からメッセージをいただきました。
広島パート
湯崎英彦広島県知事
「被爆者の方が長い間待ち続けてきた条約です。また、被爆者の方々が先頭に立って、呼びかけ続けてきたことが結ばれた結果でもあります。発効というのは決してゴールではありません。まさに核兵器の終わりに向けた始まりでもあります。これからも核兵器禁止条約に批准する国が増えるように、核兵器が廃絶されるように1歩1歩進んでいきたいと思います。皆さん一緒に頑張りましょう。」
松井一實広島市長
「市民の視点に立った考えたかたに基づく核兵器禁止条約は、必ず核兵器を廃絶するための原動力になると信じています。今日、被爆者の方や、若者たちが自身が取り組んでいる平和活動について発表します。この会に参加するみなさんが、自分には何ができるかを考えるきっかけになればいいと思います。この条約の発効を新たなスタートとして、みなさんで平和で共生できる社会を作っていきましょう。」
広島県原爆被害者団体協議会理事長代行 箕牧智之さん
「原爆投下から75年が経過した今、あの出来事は昔話でもおとぎ話でもありません。壮絶な死を遂げた広島・長崎21万人のみなさん。もし生まれ変わることができるなら、広島・長崎に1人残らず戻ってきてほしい。世界が核で埋もれるようなことがあってはいけません。人類のために強い、もっとひたむきに訴え続けることが大切です。」
広島県原爆被害者団体協議会 理事長 佐久間邦彦さん
「被爆から76年目の今年、核兵器禁止条約が発効されました。22日の発効日は、さまざまなイベントに参加しました。この発効日を原点として、これを大切にして、核兵器のない世界のためにどう生きていけばいいのかを考えていきたい。二度と原爆による広島と長崎の悲劇を繰り返すことのないように、日本政府に核兵器禁止条約に署名、批准してもらうために、声を大きくして訴えたいと思います。」
この後、広島市内の高校生から大学院生が、それぞれ行っている平和活動についての発表がありました。
長崎パート
次に長崎に中継を繋げました。長崎では長崎大学核兵器廃絶研究センター(RECNA)の田中桂子先生がファシリテーターになって、田上富久長崎市長と、(株)A and Live 代表取締役の髙田明さんによるトークセッションが行われました。
議論の中心は「伝え方」に関する話
田上市長
「「変わらないもの」は被爆体験、戦争体験を原点とすべきだろうと思います。核兵器がなくなっても、被爆体験を伝えるづける意味があります。変えていくべきは、「伝え方」。今、どうやったら伝わるかを問い直さなければならなりません。直接的な被爆の惨状から伝える、というこれまでの平和教育の在り方が、多様化してきてきています。さらに、SNSの発展などにより、1人1人が、メディアになれるようになりました。これから数年~数十年は、「人1人が主体的に、被爆について伝える様々な実験の時期だろうと思います。」
髙田さん
「 全く違う伝え方をすればいいと思います。。ALSに対して、水をかぶる「バケツリレー」が広まっていましたよね。批准国の代表者が同様のアクションで、世界に核兵器禁止条約のメッセージを発するというのはインパクトがあると思います。また可能性があることを若者に信じてもらうことが、この条約の実行性を高めることにつながるのかもしれないと思います。変えていく力は、私たちにあります。政治はそうしたプレッシャーに動かざるを得えません。変えていく力を育み、その絶対数を増やすことが重要です。」
イベントを振り返って
最後に明治大学の遠藤あかりさんにまとめの言葉を言っていただきました。
「核兵器禁止条約の発効を喜ぶとともに、被爆者の方の存在がわたしたちの心を動かし、世界を動かくことに繋がったと思います。コロナ禍において、多くの当たり前が通用しなくなってしまいましたが、画面を通して繋がれる新たな当たり前を生み出すこともできました。この条約の発効はゴールではありません。核兵器のない新しい当たり前を実現していくために、一緒に頑張っていきましょう。」
コロナ禍だからこそ、さまざまな場所を繋いで、異なったバックグラウンドの方々の話を聞くことができました。立場は違えど、「核兵器をなくしたい」という想いを共有し、今後どうしたらいいのかを一緒に考える時間を共有できたことは、今後の廃絶への道の1歩に繋がると思います。
アーカイブ
こちらの配信はYoutubeより全編ご覧いただけますので、ぜひご視聴ください。
◆核兵器禁止条約発効記念 東京・広島・長崎 全国同時イベント 「核なき世界へスタート!」
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