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よくあるご質問
FAQ
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Q.1なぜ核兵器を持つ国があるの?
現在、核保有国は9つあり、さまざまな理由から核保有に至りました。共通しているのは、対立する国や国々からの軍事的脅威に対抗するためです。相手国から、核兵器を含む軍事攻撃を受けたとしても、生き残った核兵器を使って相手国に甚大な被害を与える。このことを予め相手国にわからせることで相手国に最初の攻撃を断念させる。これが核抑止論です。でも、自国が核兵器に依存することは相手国にとっても脅威です。核抑止に頼ることで対立が激化し、相手国の軍事的脅威も大きくなり、核戦争の危険性は高まってしまいます。
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Q.2日本は米国の核兵器に頼っている?
日本は、核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という非核三原則を1967年に掲げ、以来それを国是としています。その一方で、米国の核兵器、いわゆる核抑止力に依存する政策をとっています。
冷戦期の1965年、米国のジョンソン大統領は佐藤首相に対して日本の安全保障のため核抑止の提供を約束し、1975年にフォード大統領と三木首相は共同コミュニケでこの約束を確認しました。この政策の基礎は、1960年の日米安全保障条約(日米安保条約)にあります。条約自体には核兵器への言及はありません。しかし日本政府は、同条約第5条に基づいて米国が日本を防衛するためにとる「行動」の中に核兵器が含まれていると解釈しています。
2010年以降、日本は米国と「拡大抑止協議」を重ねており、それを通じて米国の核政策に積極的に関与しているとの指摘があります。
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Q.3核兵器ってどうやってなくすの?
核兵器とは、高濃縮ウランやプルトニウムといった核分裂性物質の入った「核爆発装置」を、ミサイルなどの「運搬手段」に載せたものです。核兵器を解体するには、まずは核爆発装置を運搬手段から切り離し、次に核爆発装置から核分裂性物質を取り出します。残った爆発装置やミサイルなどは物理的に破壊します。これで兵器としての解体は完了です。悩ましいのは、残った核分裂性物質の扱いです。これはいわゆる「原発のゴミ」と同じ問題です。また、核兵器がきちんと解体されたか、再核武装のおそれがないかを検証することも必要です。核兵器禁止条約の下で、国際的な検証機関をつくるための議論が続いています。
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Q.4原発と核兵器の関係は?
原子力発電と核兵器には非常に密接な関係があります。特に重要なのは原発の燃料が、核兵器で用いられている材料と同じウランとプルトニウムだという点です。
天然のウランは核分裂するものが少なく、原発あるいは核兵器で用いるためには、核分裂するウランを「濃縮」する必要があります。また、人工の元素であるプルトニウムは、原子炉で用いたウラン燃料を「再処理」して取り出します。これらの技術の保有は核兵器開発の障害を大きく下げることになります。なお日本は非核兵器国で唯一、この2つを行える施設を持っています。
また、原子力産業は核兵器を支えてもいます。米エネルギー省の2020年の報告書は、原子力産業の衰退が国防関連の調達費用を引き上げることを指摘しています。
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Q.5核兵器禁止条約にはどんな効果があるの?
条約は参加する国を法的に拘束します。参加する核保有国が増えれば、核兵器を使わないし持たないという国が増えますから、それだけ核兵器のない世界に近づきます。
核保有国が全く参加しない場合であっても、この条約があることで、核兵器を使ってはならないという「核のタブー」が強まります。この条約は、「核兵器は許されないものである」という国際社会の「きまり」(規範)を強めるものなのです。それは現実に、多くの人びとの行動に影響を与え、核兵器や関係する活動をしにくくします。多くの金融機関がすでに核兵器関連活動への投資を停止し始めているのは、その一例です。
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Q.6核兵器のない世界とはどんな世界?
世界の南半球は、すでに非核地帯となっています。中南米、南太平洋、東南アジア、アフリカ、さらには南極でそれぞれ非核地帯の条約が結ばれて、核兵器は持たない、置かない、もちろん使用もさせないということが決まっています。それを監視する国際機関が置かれている地域もあります。こうした非核地帯にすでに世界の約120カ国が加わっており、核兵器に頼ることなく、国際的な平和と安定が保たれています。
これが全世界に広がれば「核兵器のない世界」になるのです。核兵器のない世界では、問題があれば協議し、疑惑があれば検証し、違反があれば罰則を科すことになります。そのような国際的な統治が機能することは、戦争を未然に防止することにもつながります。そして各国は、軍備への依存を減らし、軍事費を削減して、お金を人びとの命や暮らしのために回すことができるようになります。
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Q.7世界中に「ヒバクシャ」がいるって本当?
世界では、これまで2000回を超える核実験が行われ、それによって被ばくした「グローバル・ヒバクシャ」が世界中に存在します。例えば、太平洋のマーシャル諸島では、米国による核爆発実験によって島民が被ばくし、放射能で汚染された島々からの避難を余儀なくされました。日本だけが唯一の「被爆国」ではないのです。
また、生物学的に女性や子どもは、放射能の影響を強く受けるとされています。放射線による女性の発がんリスクは、男性のそれよりも2倍高いという研究報告があります。さらに、被ばくによる社会的・心理的な影響も、女性はより強く受けるとされています。こうした観点から「核兵器とジェンダー」に関する議論が近年、国際的に活発になっています。
さらに、核兵器の使用・実験だけでなく、核兵器や核燃料の材料となるウランの採掘、核兵器の製造、核廃棄物などによって影響を受けている人たちも「グローバル・ヒバクシャ」と呼ぶことができます。
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Q.8核兵器は地球にも影響があるの?
核戦争が起きれば、仮にそれが地域的に限定的なものであったとしても、大量の粉塵が大気圏を覆うことにより、太陽光の遮断、気温の急激な低下、降水量の減少が起きて、いわゆる「核の冬」が訪れます。それによる食料の不作で「核の飢饉」となり、20億人さらには50億人以上が餓死するという研究報告もあります。
核兵器の影響に、国境線は関係ありません。核兵器が使用されれば、その影響は、人間だけではなく、生態系を含む環境すべてに及びます。どこに住んでいても、私たちは核戦争の脅威と無関係ではいられないのです。