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被爆者からのメッセージ

日本原水爆被害者団体協議会
(被団協)事務局次長 和田征子

これからも原爆がもたらした「実相」を語り続けます

広島・長崎の被爆者の平均年齢は85歳を超えています。その中で被爆の体験を語ることができる者たちは、ほんの一握りとなりました。被爆者の私たちは、自分たちに残されたわずかな時間で、これまで活動を支えてくださった多くの個人・団体の皆さんと共に核兵器の廃絶に向かって歩みを進めたいと願っています。核兵器禁止条約は、被爆者と国内外の市民社会の長年の忍耐強い活動で成立したものです。被爆者は、武器によってではなく、ひたすら自らの体験を語ることによって、たたかってきました。この条約の締約国を増やしましょう。私たちは、これからも原爆がもたらした「実相」を語り続けます。聞いて、知って、共感してください。そしてそれぞれの方法で共に行動してくださることを願っています。 被団協ホームページhttps://www.ne.jp/asahi/hidankyo/nihon/

なぜ核兵器をなくさなければいけないのか

1945年8月6日に広島に投下された一発の原爆で14万人の人たちが、8月9日に長崎に投下された原爆では7万4000人の人たちが、同年末までに命を奪われました。原爆は、核爆発に伴う熱線、爆風、放射線により、壊滅的で非人道的な被害をもたらしました。人びとは黒焦げになり、火傷を負い、高熱火災と爆風が家屋を倒壊、消失させました。放射線は人びとの細胞を破壊し、血液を変質させ、命を奪い、さまざまな障害をもたらしました。
被爆者は家族を奪われ、生活を破壊され、差別や精神的被害を受けてきました。今日まで、その苦しみは続いています。

今日世界には1万2000発以上もの
核兵器が存在します。

その約9割を米国とロシアが保有しています。その威力は、広島や長崎の原爆の数十倍から百倍以上にもなります。米ロ両国のほか、イギリス、フランス、中国、そしてインド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮も核兵器を保有しています。

人類の終末まであと何分かを示す「終末時計」の針は、2022年、「午前零時の90秒前」にまで進められました。
核保有国の指導者が無謀な行動に出ていることに加え、国家以外の武装勢力(いわゆる「テロリスト」)の脅威や、核兵器に伴う事故の危険性、サイバー攻撃、軍事に入り込む人工知能(AI)の暴走の可能性などがあるからです。

核兵器が、意図的にであれ偶発的にであれ、ひとたび使われれば、報復により世界的な核戦争へと発展し、地球環境は破壊され、全人類が破滅の淵に立たされます。「核戦争に勝者はいない。核戦争を戦ってはならない」(1985年の米ソ首脳声明)のです。

核兵器は、存在する限り、使用される可能性があります。

核兵器を使わせない唯一の保証は、
核兵器を廃絶することです。