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2026年04月10日

核不拡散条約(NPT)再検討会議とは何か

 4月27日から5月22日にかけて、2026年核不拡散条約(NPT)再検討会議がアメリカ・ニューヨークの国連本部にて開催されます。そこで本稿では、そもそもNPT再検討会議とは何かについて、その目的や構造、進行の流れを中心に解説します1

NPT再検討会議とは何か?

 NPT再検討会議(Review Conference)は5年に1回、開催されます。そこでは、①条約の義務や過去の合意の実施状況をレビューすること、②今後の取り組みについて合意をつくること(例えば、2010年の再検討会議では64の行動計画が策定された)などを目的に、締約国間で議論や交渉が行われます。

 再検討会議に向けては、その3年前から1年に1回、準備委員会2が開催されます(下図)。これら3回の準備委員会3での議論を踏まえ、再検討会議が開催されるのです。全3回の準備委員会と再検討会議によって構成されるこの過程は「NPT再検討プロセス」と呼ばれています。

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 再検討会議では、開会セッションに続き、まず始めに一般討論(General Debate)が行われます。そこでは各国代表団のトップがスピーチをし、会議における目標や期待、自国の基本的立場などを述べます。その後、NGO参加者によるスピーチ(NGOセッション)があります。これらが第1週にかけて実施されます。

 続いて会議では、各イシューについて3つの主要委員会(Main Committee:MC)に分かれて議論を行います。主要委員会Ⅰでは核軍縮や安全の保証、主要委員会Ⅱでは不拡散や地域問題、主要委員会Ⅲでは原子力の平和的利用やその他の問題がそれぞれ議論されます。なお、主要委員会Ⅰの委員長は第3回準備委員会の議長、主要委員会Ⅱの委員長は第2回準備委員会の議長、主要委員会Ⅲの委員長は第1回準備委員会の議長が務めるのが通例となっています4

 また、再検討会議では、各委員会のもとに補助機関(Subsidiary Body:SB)を設けることができます。補助機関では、各イシューのなかでとりわけ集中的な審議が必要なテーマについて議論がなされます。

 それぞれの主要委員会では、補助機関での議論も踏まえて、各委員会での議論をまとめた報告書が作られます。それぞれの報告書について締約国は合意の形成を目指しますが5、それが困難な場合、報告書案が各委員会の委員長による文書として再検討会議全体の議長に提出されます。ここまでが第2〜3週にかけて行われます。

 各委員会からの報告書を踏まえて議長は最終文書案を作成し、第4週にその検討や交渉が行われます。締約国による交渉は、公開でのやり取りが全体会合(Plenary)で行われますが、その大部分は非公開会合において実施されることが多いです。

 さまざまなトラックでの交渉を踏まえつつ議長は最終文書案をアップデートしていき、最終的に採決にかけます。そこで全会一致の合意を得ることができれば、最終文書案が再検討会議の成果文書として採択されます。

 毎回の会議によって進行の流れや交渉のあり方などに違いが見られますが、NPT再検討会議は概ねこのように進行していきます。

2026年NPT再検討会議に関する情報一覧

 今回の再検討会議に関連する公式文書や関連情報は以下のリンクから見ることができます(随時更新):

 ⚫︎会議文書や作業文書など(国連):https://meetings.unoda.org/meeting/76801/documents
 ⚫︎会議文書や作業文書など(Reaching Critical Will):
 ⚫︎会議スケジュール(暫定版):https://x.gd/BipqM (もしくは、こちら
 ⚫︎締約国によるサイドイベント:
 ⚫︎NGOによるサイドイベント:
 ⚫︎各国やNGOによる発言:

浅野英男(核兵器をなくす日本キャンペーン・コーディネーター)


  1. 以下の解説は”NPT Review Process: An Explainer“をもとに執筆した。 ↩︎
  2. NPT準備委員会についての解説は【2025NPTレポート】核不拡散条約(NPT)「準備委員会」とは何かを参照。 ↩︎
  3. 第1回準備委員会はオーストリア・ウィーン、第2回準備委員会はスイス・ジュネーブ、第3回準備委員会はアメリカ・ニューヨークで開催されるのが通例である。また、第4回準備委員会が再検討会議と同じ年に開催される場合がある。 ↩︎
  4. 第1回準備委員会は西欧その他諸国グループ(WEOG)、第2回準備委員会は東欧諸国グループ(EEG)、第3回準備委員会は非同盟諸国(NAM)がそれぞれの議長を指名するのが通例である。また、再検討会議全体の議長はNAMのうち、アジア、アフリカ、ラテンアメリカ、カリブ諸国の間で順番に指名するのが通例となっている。今回のNPT再検討会議ではベトナムが務める。 ↩︎
  5. 2000年以降、いずれの主要委員会でも委員会の報告書を全会一致で採択できたことはない。 ↩︎

※トップ写真:国連のホームページ(https://www.un.org/en/conferences/treaty-on-the-non-proliferation-of-nuclear-weapons-npt-2026)より

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