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2016年05月13日

ジュネーブより④:存在感高めるNWFZ―加盟10か国が共同で作業文書 核兵器なき地域を世界へ波及させる

5月11日、国連作業部会で発言するピースデポの荒井摂子さん

5月11日、国連作業部会で発言するピースデポの荒井摂子さん

ジュネーブの田巻一彦さん(ピースデポ)からのレポートです。

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公開作業部会で強く印象づけられたことの一つが、NWFZ(NWFZ)加盟国の存在感だ。地帯加盟国9か国が、共同で作業文書「核軍縮を前進させる:核兵器地帯の視座からの提案」(4月28日、WP34)を提出した。(提案国:アルゼンチン、ブラジル、コスタリカ、エクアドル、グアテマラ、インドネシア、マレーシア、メキシコ、ザンビア。5月9日にはここにフィリピンが加わり共同提案国は10か国になった。)

10か国はこの文書で、「NWFZの加盟国として、我々はそれぞれの地域で核兵器の使用、保有、備蓄、移転、生産、開発に関する包括的な禁止と義務を確立した。よって我々はNWFZ加盟国であるという正統性を活用して、最も強く、大きな声を上げて核兵器のない世界をとりもどさなければならない」と述べた。そして「7地域115か国に広がる政治主体として」、核兵器を禁止する法的拘束力のある文書の交渉に貢献してゆくとの方針を示した。(筆者補足:NWFZ加盟国が自ら引き受けている義務はNPTよりも高く厳しい、そして加盟国は、それと引き換えに核兵器国から核による攻撃も攻撃の威嚇も受けないという約束を取り付けている。NWFZが「非核の傘」と呼ばれる由縁である。)

作業文書34は更に次のように続ける。「意図的なものであれ偶発的なものであれ、核爆発がおこれば、NWFZ条約では誰も守れない。加盟国といえども核爆発による人道上の結末から自由にはなりえない」、したがって「作業文書34」は、次のように続ける。我々は、「世界的視野で核兵器を禁止する、法的拘束力を持った文書」を追求してゆく。同文書に反映されるべき要素は次のとおりだ:保有禁止、使用と使用の威嚇の禁止、取得禁止、備蓄禁止、開発禁止、実験禁止、製造禁止、輸送禁止、移転禁止、配置禁止、配備禁止、禁止された事項への援助禁止・・・。「作業文書34」提案国は、NWFZの向こうに核兵器禁止条約をしっかりと見据えているのだ。

そして、作業文書34は、公開作業部会が、2018年までに予定されているハイレベ国際会議に先立って、核兵器禁止のための法的拘束力のある文書の交渉を行う会議を2017年に開催するよう求めた。

作業文書34は、10か国はもちろん、他の国々によってもしばしば引用された。今後も支持を拡大してゆくものと思われる。5月12日の会議で、共同提案国であるメキシコ代表は次のような趣旨の発言をした。NWFZ加盟国という地位は、天から降ってきたわけではない。地帯形成(メキシコの例で言えば「トラロルコ条約」(メキシコシティのトラテロルコで調印が行われた。1969年成立、現加盟国数は中南米・カリブの33)は、キューバ危機の中で、地域安全保障の在り方の選択を問われる中で選んだ「集団的安全保障」の枠組みだった。

一方、日本代表団は今日も次のように主張した。「核軍縮議論では地域の安全保障環境を考慮するべきだ。北朝鮮の核計画がある以上、警戒を解くわけにはゆかない。国家安全保障の重視と核兵器への依存を止めることはできない。この発言は、60年代、中南米の国々が「キューバ危機があったからこそ」選んのがNWFZだったという歴史を無視している。

メキシコは、次のように日本に応じた、核抑止力自体が危険をもたらす。我々はNWFZという集団的枠組みを強化して核兵器が存在する(キューバ危機)状況の中で平和を守った。緊張があったから非核地帯を選んだのだ。バンコク条約(東南アジアNWFZ)に属するタイは、「NWFZは、集団的・協調的安全保障枠組みの土台である」であると、呼応した。

(追記)
ピースデポは、OEWGに作業文書(NGO5)を提出し、核兵器「使用禁止条約」初期的措置経て、包括的禁止条約に向かう「段階的措置」を提案した。私たちが初期段階における先導役としての役割を期待したのはNWFZ加盟国である。http://www.peacedepot.org/menunew.htm
作業文書34に私たちが意を強くしたのは当然である。何よりも地帯加盟国の中から「世界への波及」への視座が提起されたことはこの上なく大きいと考える。(文責:田巻一彦)

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