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2024年07月12日

【レポート】2026年核不拡散条約(NPT)再検討会議第2回準備委員会に向けた外務省との意見交換会

 2024年7月22日より開催される2026年核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第2回準備委員会(以下、NPT第2回準備委員会)を前に、核兵器廃絶日本NGO連絡会(以下、NGO連絡会)は、同会議における取り組みに関する要請書を日本政府に提出し、7月9日に外務省との意見交換会を実施しました。外務省からは林美都子審議官と清水知足軍備管理軍縮課長、市民社会からは13団体14名が参加しました。

 始めに、田中熙巳NGO連絡会共同代表(日本原水爆被害者協議会代表委員)が冒頭挨拶。ロシアによるウクライナ侵攻や中東ガザ地区におけるイスラエルの武力攻撃に触れ、日本が外交で果たす役割への期待を述べました。

 その後、田中共同代表から外務省の林美都子審議官に要請書を手交しました。要請書では、NPT第2回準備委員会における日本政府の核軍縮の取り組みについて、1. 核兵器の不使用、2. 核兵器の役割低減および核軍縮、3. NPTと核兵器禁止条約の補完性、4. 核兵器に利用可能な核物質の生産、5. 核被害者援助および環境修復の5項目に関する要請をしました(要請全文はこちら)。

 続いて、外務省を代表して林美都子審議官が挨拶。「核兵器のない世界」に向けた日本政府の取り組みについて紹介しました。

 その後、非公開での意見交換が行われました。始めに清水知足軍備管理軍縮課長から要請に対する総括的な回答がありました。NGO連絡会としては、政府の立場は以下のようなものであると理解しました(正確な引用ではありません)。

1. 核兵器の不使用について

 核兵器の不使用を継続することおよび核兵器使用の正確な認識を広めることの重要性は共有している。G7広島サミットでは、2021年に核兵器5カ国が発表した「核戦争に勝者はありえず、核戦争は決して戦ってはならない」との共同声明に言及し、支持している。ロシアによる核の威嚇は断じて許されないことも訴えている。厳しい安全保障の現実を核兵器のない世界に近づけていく努力をしていく。核兵器の非人道性と安全保障の問題は矛盾するものではないと考えている。​​

2. 核兵器の役割低減および核軍縮について

 NPT第6条およびNPT再検討会議での過去の合意の実施には、核兵器国の関与が重要である。2022年NPT再検討会議で岸田首相が発表した「ヒロシマ・アクション・プラン」を前に進めていきたい。国別報告書に関する提案は、政府としてもG7広島サミットで発表した「広島ビジョン」で呼びかけている。

 核兵器の先制不使用については、全ての核兵器国が検証可能な形で、同時に行わなければ有意義ではないと考えている。日本の安全保障を先制不使用だけに頼って確保することは困難であると考える。一方で、軍備管理に向けた米中対話は一般論としては有意義であると考えている。

3. NPTと核兵器禁止条約について

 核兵器禁止条約は、「核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約である」が、未だに核保有国の参加はなく、そこに至る道筋も見えていない。核兵器禁止条約については、非核保有国の中でも異なる立場があると承知している。核保有国を巻き込み、非核保有国と連携するアプローチを模索したい。両条約の補完性については、さまざまな立場があると理解している。​​

4. 核兵器に利用可能な核物質の生産について

 利用目的のないプルトニウムは保有せず、平和利用目的のみで保有するという方針を堅持している。そうした方針のもと、プルトニウム保有量を減少させていくことを政府として決定している。プルトニウムが核兵器の材料にもなりうるという観点を踏まえ、透明性の確保に努める。

5. 核被害者援助および環境修復について

 昨年、カザフスタンとキリバスによって提出された国連総会決議(78/240)は大いに賛同できる有意義なものであり、日本も支持した。決議に関する国連事務局からの要請に応じて、自国の核被害者支援の取り組みを報告するレポート(こちら)を5月に提出した。

 唯一の戦争被爆国としての経験や知見を活かすべく、政府援助の枠組みで他国の核被害者支援にも取り組んでいる。今後も適切な協力のあり方を模索していきたい。

 その後、川崎哲NGO連絡会共同代表(ピースボート共同代表/ICAN国際運営委員)による進行で、NGO参加者と清水課長との質疑応答が行われました。

 今回のNPT第2回準備委員会に向けた意見交換会を含め、市民との対話の機会を継続的に設けてくださっている日本政府・外務省の皆様に改めて御礼申し上げます。

文責:浅野英男(核兵器廃絶日本NGO連絡会 事務局スタッフ)

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