
【声明】核兵器禁止条約締約国会議への「不参加」表明に抗議します
日本政府が核兵器禁止条約の第3回締約国会議に、前2回に続き参加しないと表明したことに対して、私たちは強く抗議します。昨年日本被団協がノーベル平和賞を受賞し、今年は被爆80年を迎えるという中、今こそ日本は、核兵器の非人道性を世界に訴える重要な責務を果たすべきです。とりわけ現在、核保有国は国連憲章や国際人道法などのルールを無視した行動を重ねており、核の脅威がかつてなく高まっています。日本は核兵器禁止条約の締約国会議に参加することによって、核兵器のいかなる使用も許さず、その廃絶を求める姿勢を明確に示すべきです。核兵器を非人道兵器として全面禁止したこの条約に被爆国日本が背を向けることは、核兵器に正当性を与え、各国の核軍拡を助長するものですらあります。
これまで全国の被爆者、市民、NGO、さらに、多くの首長、知事、地方議会が政府に対して核兵器禁止条約締約国会議への参加を求めてきました。与野党からも、代表レベルでの要請が繰り返されてきました。こうした声に耳を傾けない政府の姿勢に、私たちは強い憤りを感じています。
政府はこの数カ月間、過去にオブザーバー参加した国の事例を検証するといってきました。しかし、政府から示されたその内容は、とても「検証」とは呼べない乏しいものでした。米国と同盟関係にありながらも同会議に参加して、核被害者援助や核軍縮の検証などについて意見表明してきたノルウェー、ドイツ、オーストラリアなどの事例について、ほとんど目を向けていません。これでは、最初から結論ありきの、名ばかりの「検証」であったといわざるを得ません。
核兵器禁止条約の締約国会議に参加することは、核兵器国と非核兵器国の橋渡しに資するものであって、分断を広げるものではありません。日本を取り巻く安全保障環境が厳しいことは事実ですが、だからこそ緊張を緩和し核軍縮を促進する必要があるのです。核兵器の非人道性を訴えることは、日本周辺の核保有国に対しても、核兵器の使用や保有を許さないというメッセージになります。
政府がこのたび方針を示したとはいえ、これをそのまま受け入れることは到底できません。国会における徹底的な議論が必要です。私たちは政府に、方針の変更と会議への参加を求めます。
そして政府の決定のいかんにかかわらず、多くの被爆者とNGOは同会議に参加し、それぞれの立場で核兵器廃絶を訴えます。与野党の国会議員も参加の意向を示しており、私たちもこれら議員と連携をしていきます。参加を拒んでいるのは政府だけです。方針の再考を強く促します。
2025年2月18日
核兵器廃絶日本NGO連絡会
共同代表
足立修一 (核兵器廃絶をめざすヒロシマの会共同代表)
伊藤和子 (ヒューマンライツ・ナウ副理事長)
大久保賢一 (日本反核法律家協会会長)
川崎哲 (ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員)
田中熙巳 (日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)代表委員)
朝長万左男 (核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員長)