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2023年07月31日

2023 NPTレポート2 ― 再検討プロセスのさらなる強化に関するワーキング・グループ

(写真:ウィーン国連軍縮部

 2026年核不拡散条約(NPT)再検討会議第1回準備委員会に先立ち、7月24日から28日にかけて「再検討プロセスのさらなる強化に関するワーキング・グループ」会合が開催された。このワーキング・グループは、2022年に行われた第10回NPT再検討会議(NPT/CONF.2022/DEC.2)において「NPT再検討プロセスにおける有効性、効率性、透明性、報告義務、調整および継続性を向上させるための諸措置」について議論し、準備委員会に対して勧告を行うために設立されたものである。

 ワーキング・グループ会合は非公開で行われ、25日に行われたNGOステイトメントを除いて、市民社会の参加は認められなかった。

NGOステートメント

 NGOステイーメントにおいて、ウィーン軍縮不拡散センター(VCDNP)およびジェームズ・マーティン不拡散研究センター(CNS)を代表して発言したエレナ・ソコバVCDNP事務局長は、NPTにおける核軍縮をより良く構想していくためには、過去の核軍縮の合意についてより詳細かつ体系化された検討を行う必要があると述べ、再検討会議の前に、過去の合意の履行状況に関する文書を第三者機関が作成し、提出することを提案した。また、エレナ事務局長は、締約国間での核軍縮合意の履行に関する報告義務および議論が必ずしも十分ではないことを指摘し、準備委員会の各会合と再検討会議の主要委員会Ⅰにおいて、各国の報告、特に核兵器国のそれについて体系的に議論する時間を設けることも提案した。なお、VCDNPは、今回のワーキング・グループの開催に先立って、NPT再検討プロセスのさらなる強化に向けた提言を含む報告書を発表している。

 婦人国際平和自由連盟(WILPF)を代表して発言したヴァネッサ・ゴーティエ・ヴェラ氏は、NPT再検討プロセスにおける市民社会の参加について、NGOステートメントの時間だけに限らず、締約国間での議論においてもNGOや国際機関の代表者に発言権を認めることや、補助機関を含め、NPTに関連する全ての会合への市民社会の参加を認めることを提案した。また、ヴァネッサ氏は、NPT会議への参加支援プログラムの設立や会議における(参加者の構成などに関する)ジェンダー別の統計データの収集などを通じて、全ての人種やジェンダー、核被害を受けてきたコミュニティの人々の参加を促進し、ただ単に彼ら/彼女らを会議に加えるだけではなく、その声に耳を傾けることが重要だと訴えた。

 その他にも、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)や核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)、ワールド・フューチャー・カウンシル(WFC)、ユース・フュージョンの代表が発言をした。

 これらの発言に対して、フィリピンやメキシコ、スイス、フランス、カザフスタン、オーストリア、アメリカなどの代表が質問およびコメントを寄せた。

準備委員会への勧告

 ワーキング・グループでは5日間にわたって議論が行われたものの、参加した締約国は準備委員会への勧告に合意することはできなかった。参加国間での議論が有意義なものであったと願いたい。

核兵器廃絶日本NGO連絡会事務局 浅野英男

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