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2023年12月13日

「核兵器禁止条約第2回締約国会議に向けた政府(外務省)とNGO・被爆者との意見交換会」レポート

2023年11月27日より開催される核兵器禁止条約第2回締約国会議を前に、核兵器廃絶日本NGO連絡会は、11月16日、日本政府に同会議へのオブザーバー参加などを求める外務省との意見交換会をもちました。その後、NGOの代表らによる共同記者会見を実施しました(共同記者会見のレポートはこちら)。午前11時から1時間にわたり行われた意見交換会には、外務省から林美都子軍縮不拡散・科学部審議官、清水知足軍備管理軍縮課長が、NGO側から14団体17名が参加しました(参加者リストはこちら)。以下、概要をレポートします。【文責:渡辺洋介(ピースデポ研究員)、高橋悠太(核兵器廃絶日本NGO連絡会事務局)】

要請書を手交する田中さん(右)

意見交換に先立ち、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中煕巳代表委員(核兵器廃絶日本NGO連絡会共同代表)が挨拶し、要請書の趣旨説明を行いました(要請書はこちら)。来たる核兵器禁止条約第2回締約国会議に先立ち、日本政府が取り組むべきこととして、①核兵器禁止条約第2回締約国会議にオブザーバー参加して、日本政府として「核兵器のない世界」に向けて議論に積極的に貢献すること、②国際賢人会議第3回会合における被爆者・NGOとの意見交換の場を設定すること、を要請しました。田中共同代表は日本政府に被爆国として核兵器をなくすリーダーシップをとってほしいと述べました。

「総括的回答」をする林美都子軍縮不拡散・科学部審議官(右端)

その後、要請書を手渡し、林審議官から要請書に対する「総括的回答」がありました。林審議官は、日本は被爆国として、核なき世界実現の責任を有しており、そのために被爆者やNGOとの協力が大切であると認識していると述べました。しかし、核兵器禁止条約は核兵器のない世界への出口に向けた重要な条約だが、核兵器国が参加しておらず、その道筋も見えていないとして指摘しました。そのうえで、核兵器国を関与させる必要があり、そのためにヒロシマ・アクション・プランを実施し、実践的な取り組みをすることで、機運を高めていきたい、とする回答がありました。

意見交換するNGO関係者

続いて、ピースボート共同代表およびICAN国際運営委員の川崎哲さん(核兵器廃絶NGO連絡会共同代表)の進行で、清水知足軍備管理軍縮課長との非公開の意見交換が行われました。要請書に明記した2つの要請事項と4つの質問に対して、各項目別に回答がありました。清水課長は、本年9月25日に軍備管理軍縮課の課長に就任したばかりですが、軍備管理・軍縮の仕事は2回目とのことです。

要請事項①の「締約国会議への日本政府のオブザーバー参加」については、これまでの立場と回答に尽きる、との説明がなされ、オブザーバー参加について明確な回答はなく、一貫して消極的な姿勢であったと感じています。また、すべての核兵器国が核兵器をなくしたら、出口として核兵器禁止条約が効果を発揮するのではないか、との認識が示されました。

日本政府がオブザーバー参加に消極的な理由について、NGO側から「核兵器禁止条約に核兵器国が入っておらず、また米国との信頼関係を損なうことを恐れているからと考えてよいか、イエスかノーで答えてほしい、と質問がされました。その点について、外務省から、NGOの認識について強い否定はありませんでした。NGO側から、「私たちの認識が間違いであれば、そう言ってほしい」と改めて尋ねました。すると、外務省からは、イエスかノーで答えられるものではない、ただその理解で大きく違わない、との認識が示されました。

要請事項②の「国際賢人会議第3回会合における被爆者・NGOとの意見交換の場の設定」については、長崎市などとの連携のもとで、被爆者やNGOとの意見交換の場を設ける方向で調整をしているとし、前向きに対応していることを明らかにしました。NGOからは連携を図りたい旨を伝えました。

発言する清水知足軍備管理軍縮課長


4つの質問の要旨はこちらです。
質問①:日本が、これまで核兵器の人道上の影響に関する国際会議に参加している経緯を踏まえて、核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加し、こうした議論で貢献すべきではないか。
質問②:日本は被爆国としての経験を生かし、核被害者援助と環境修復の議論で貢献すべきではないか。
質問③:岸田首相は「核兵器国が1か国も参加していない」ことを理由に核兵器禁止条約への参加に消極的だが、むしろ日本がオブザーバー参加することで非核兵器国と核兵器国の間に橋を渡し、核兵器国を核軍縮に関与させられるのではないか。
質問④:日本政府が締約国会議にオブザーバー参加することが、「米国の信頼」を損なうと考えるか。

こうした質問に対し以下の認識が示されたというのがNGO連絡会としての受け止めです。

質問①について
核兵器の人道上の結末に関する国連決議案に日本は賛成した。また広島で開催されたG7首脳サミットで、G7首脳らが、平和記念資料館を視察し、被爆の実相への理解を深めた。さらに日本は、国連総会に核兵器廃絶決議(日本決議)案を提出した。ユース非核リーダー基金を創設し、被爆の実相を伝えることをサポートしている。

質問②について
日本は、本年の国連総会に、カザフスタンとキリバスが提出した核被害者支援と環境修復に関する決議案に賛成している。またカザフスタンの医科大学から医師を招聘し、広島、長崎での研修や関係者との意見交換を実施してきた。引き続き被爆者治療の経験に基づいた知見を広める協力をしたい。

質問③について
日本決議にはこれまで核保有国も核兵器禁止条約の締約国も賛成していることを挙げ、今年も双方が賛成できる内容を提案している。日豪主導で創設した軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)には核兵器禁止条約推進派のメキシコもいる。また、核軍縮に関するG7首脳広島ビジョンに基づいて、核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)ハイレベル記念行事を開催した。核軍縮に向けた努力はヒロシマ・アクション・プランのもとで進めている。

質問④について
米国も日本決議の共同提案国になっており、米国との信頼関係を基礎として核のない世界を目指す。

意見交換会終了後の様子

意見交換会を振り返り、日本原水爆被害者団体協議会の和田征子事務局次長(核兵器廃絶日本NGO連絡会幹事)は、「外務省は核兵器廃絶という究極の目標は共有していると思われるが、『究極』がお互いに違うように感じた。今回の意見交換会でも日本政府の取り組みについて説明が繰り返されたが、周りをグルグル回って核心をついていないような感覚がある。せめて核兵器禁止条約の締約国会議にオブザーバー参加して、それを核なき世界への入口とすべきだ」と述べました。

以上

意見交換会および、共同記者会見の様子は、以下のメディアで取り上げられました。

NHK「核兵器禁止条約締約国会議 日本も参加を 被爆者など政府に要請」(2023年11月16日)
朝日新聞「被爆者らが外務省と意見交換 核兵器禁止条約締約国会議へ出席を要請」(2023年11月16日)
長崎NBC「『オブザーバー参加に日本政府は一貫して消極的』核兵器禁止条約 締約国会議 NGOらが要請」(2023年11月16日)
共同通信「日本の不参加『政府だけ』核禁止条約会議前にNGO会見」(2023年11月16日)
TSS「核禁条約・締約国会議を前に 被爆者団体などが日本政府にオブザーバー参加を要望」(2023年11月16日)
しんぶん赤旗「核禁締約国会議参加を」(2023年11月17日)
RCC「オブザーバー参加 日本政府に粘り強く求める 27日から核兵器禁止条約締約国会議」(2023年11月17日)

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