
【2025NPTレポート】NGOセッション
4月28日(現地時間)からアメリカ・ニューヨーク国連本部にて2026年核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けた第3回準備委員会が開催されています。4月30日午後にはNGOセッションが行われ、世界各地から集ったNGOのうち20団体が声明を読み上げました(NGOによる声明の一覧はこちら)。以下では、それらの中からいくつかを紹介します。
日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)金本弘さん
生後9ヶ月のときに広島で被爆した日本被団協代表理事の金本さんは、自らの被爆体験について話し、「身の危険を冒してまで命を救ってくれた父と原爆で亡くなった8人の兄妹のために戦争反対と核廃絶に取り組むことが自らの使命」と語りました。そして、市民社会の仲間とともに「(日本被団協の)ノーベル平和賞の力を得ながら、被爆者の証言を世界に広げ、核廃絶の取り組みを続けていく」と決意を述べました(全文はこちら)。

原水爆禁止日本協議会(日本原水協)土田弥生さん
日本原水協事務局次長の土田さんは、広島・長崎での原爆被害の実相について語り、「原爆の犠牲者のほとんどは…生徒や子ども、母親たちだったのです」と述べました。そして、核抑止がまさに意味するものは「広島・長崎の再現であり、あらゆる国際法を超えた大量虐殺の脅し」であるとし、「国際的な安全保障環境が悪化しているいま、核兵器の廃絶や軍縮は先送りにするのではなく、逆に急ぐべきです」とNPT第6条の履行や核兵器禁止条約の普遍化の促進を求めました(全文はこちら)。

平和首長会議 松井一實 広島市長・鈴木史郎 長崎市長
平和首長会議を代表して、松井広島市長と鈴木長崎市長が発言しました。松井市長は、1982年に発足した平和首長会議が世界の約8500の都市が加盟する平和のグローバル・ネットワークになったことを紹介し、NPT締約国に対しては対話を通じた平和的解決のための外交と核軍縮・不拡散の措置を世界の政治指導者に求めてほしいと語りました(全文はこちら)。鈴木市長は「原爆は人間として生きることも死ぬことも許さない絶対悪である。核兵器は人類と共存できない」との被爆者の警告がかつてなく重要になっていると述べ、「被爆都市の代表として『核兵器は絶対に使ってはならない』と絶対の確信を持って訴える」と語りました(全文はこちら)。

軍備管理協会 倉光静都香さん
軍備管理協会(Arms Control Association)でリサーチアシスタントを務めている倉光さんは、30を超えるNGOによる共同声明を発表しました。声明では、被爆80年を迎えようとするいま、核使用リスクが再び高まっているとともに、核軍縮が停滞しているばかりか米露中の3カ国による制限のない核軍拡競争が目の前に迫っていると指摘しました。そのような情勢に照らし、2026年NPT再検討会議に向けて、①アメリカとロシアが核軍備管理・軍縮交渉のテーブルへと即ちに戻り、新戦略兵器削減条約(新START)における義務を完全に履行し、新STARTが2026年に失効する前にお互いの核戦力を制限し減らす新たな枠組みに合意するよう要求すること、②5核兵器国が、核リスクを削減し、新たな核軍拡を止め、それを転換するとの共同の約束につながるハイレベル対話に取り組むよう求めること、③核実験モラトリアムへの支持を再確認し、包括的核実験禁止条約(CTBT)に加盟していない9つの国に対して、2026年再検討会議までにCTBTを批准するための具体的な行動を取るよう求めること、④核使用の脅しは「許されず」、違法であると非難すること、を優先的な行動項目とするよう呼びかけました(全文はこちら)。

上記以外にも、英国の核実験被害を受けてきたフィジーのNGOや、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)、10月には長崎で世界大会を実施する核戦争防止国際医師会議(IPPNW)などが発言し、ユースによる共同声明の読み上げもありました。
核兵器をなくす日本キャンペーン コーディネーター
浅野英男