NGO News

2014年08月05日

アボリション2000グローバル評議会が日本の憲法9条に関する声明を上げました

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8月6日の広島原爆の日を前に、世界的な核兵器廃絶NGOネットワーク「アボリション2000」のグローバル評議会が、「日本が平和憲法9条を放棄しないこと、そして核兵器廃絶への交渉努力を主導すること」を求める声明を発表しました。

声明:アボリション2000グローバル評議会は、日本が平和憲法9条を放棄しないこと、そして核兵器廃絶への交渉努力を主導することを求めます

日本国憲法第9条
1. 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2. 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

広島と長崎にアメリカの原子爆弾が投下されてから69年が経とうとしています。「アボリション2000」グローバル評議会は、日本の安全保障政策が大きく変わろうとしている現状について、日本の仲間やメンバーと連帯し、危機感を持って見守っています。日本政府のこのような変化を象徴しているのが、戦争放棄を掲げる憲法9条の解釈を変えるとした先日の安倍政権の閣議決定です。この閣議決定は、9条の理念を実質的に骨抜きにするものであり、長年にわたって守られてきた平和政策を覆すものでもあります。

日本は第二次世界大戦後に戦争を放棄する憲法を採択しました。その意味で、9条は日本が自らに向けた誓いであると同時に、世界の国々への誓いでもあります。とりわけ、日本の侵略と植民地支配に苦しんだ近隣諸国に対して、日本が過ちを二度と繰り返さないという決意を表明したものでありました。

しかし、この憲法上の制約があるにも関わらず、日本は自衛隊を創設しこれを段階的に拡大し、今では日本の軍事費は世界でもトップレベルとなり、日本はアジアで最も先進的な軍隊を持つ国の一つとなりました。そのような中においても、憲法9条があること、そしてこの理念を守ろうとする日本国民がいることが、政府に平和政策を守らせる役割を果たしてきました。こうして守られてきた平和政策の中には、武器輸出の禁止や非核政策、自衛隊を戦闘そのものには派遣しないことなどがあります。

憲法9条は、それが生まれてからこれまで、地域的また国際的な平和メカニズムとして広く受け入れられ、東北アジアの平和と安定の維持に大きく寄与し、平和や軍縮、持続可能性を促進していく法的枠組みとしての役割も果たしてきました。同時に、日本とその他の国々において強固な「非核兵器の文化」を築く上でも多大な貢献をしてきました。その結果として、日本は1945年以降、戦闘において一人も殺していないし殺されてもいません。

憲法9条の解釈を変え、日本の武力行使の制限を緩和し、日本が集団的な軍事行動に参加できるようにするとした閣議決定は、憲法9条や日本の平和主義政策を転換しようとする政府が強行してきた取り組みの一部にすぎません。このほかにも安倍政権は、防衛計画の大綱の改定や2年連続での防衛予算の増大、長く維持されてきた武器輸出の劇的な緩和など、この数カ月間に様々な決定を通してきました。安倍政権が新たに打ち出した「積極的平和主義」の一環として進められるこれらの動きは、日米安保協力という枠組みの下にあるのだということも忘れられてはなりません。今、日米両国では日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の改訂が進み、日本が米国政府の「戦略的アジア回帰」により深く関与できるような仕組みが整えられつつあります。その中には核を含む抑止力の強化をめざすものもあり、そのような動きは中国のより挑発的な行動を誘発しています。

アボリション2000グローバル評議会は:

●日本の平和憲法の解釈を変えようとする日本政府の動き、とりわけ9条を骨抜きにした7月1日の閣議決定に深い懸念を示します。これらの動きはこれまで日本が何十年にもわたって貫いてきた平和政策と相反するものであり、軍国主義への転換を示唆するものでもあります。

●日本が、軍事費を削減し、安全保障政策においては核兵器への依存を放棄することによって、憲法9条が掲げる平和の理念を守るだけでなく、実際の政策の中でこの理念をより強化・促進していくことを求めます。

●地域の緊張関係を考えると、日本が安全保障政策を転換させることが脆弱な北東アジアの平和を脅かし、核軍拡を含む軍拡競争を誘発し、これまでにないような結果をもたらす衝突に結びついてしまう可能性があることを憂慮します。

●日本や近隣諸国が、緊張関係をこれ以上悪化させるような行動をとらないよう呼びかけます。

●地域のすべての国が、北東アジア非核兵器地帯の設立にむけて手をとり努力するよう要請します。

●日本が、核兵器を禁止し廃絶するための国際条約の交渉努力の先頭に立ち、本当の意味での「積極的平和主義」を世界に知らしめるような取り組みを主導していくことを期待します。

2014年8月4日
核兵器廃絶NGOネットワーク「アボリション2000」
グローバル評議会

詳しい情報や、最新の論争については、グローバル9条キャンペーンのウェブサイト(http://article-9.org)、あるいはFacebookのページをご覧ください(https://www.facebook.com/article9)。

国際アピールに賛同してください:「日本の平和憲法を救え!」
http://www.peaceboat.org/topics/archives/48

原文はこちら
http://www.abolition2000.org/?p=3499#sthash.Mfyb7T8s.dpuf

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