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2017年12月13日

【ノーベルウィーク2017⑦】セミナー「核兵器を禁止する新しい条約:内容と考えられる効果」

ノーベル平和賞の授賞式の翌日11日(月)、未明から舞う粉雪でオスロの街はうっすらと雪化粧していました。この日はノルウェー赤十字のカンファレンスセンターで、「核兵器を禁止する新しい条約−内容と考えられる効果−」というタイトルのセミナーが開催されました。このセミナーの主な目的は、核兵器禁止条約を国際法および国際人道法の観点から、一般の人々にも理解しやすいように解説することにありました。

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第1部「国際法(1949-2017)における核兵器」では、核兵器に適用される様々な条約および国際慣習法が解説されました。また、1996年の国際司法裁判所の勧告的意見についても言及し、核兵器使用にも国際人道法が適用されることを確認したことを評価する一方で、自衛の極限的な状況においては判断を回避したことを、damaging statement (不利な意見)であると批判しました。

以上文責:小倉康久(明治大学【国際法】)

第2部「核兵器と国際人道法」では、国際人道法の一般的な原則が説明されました。そこで「不必要な苦痛」や「無差別攻撃」などの定義が明らかにされましたが、それにもかかわらず、核兵器のような壊滅的な結果をもたらす兵器がなぜ許されるのかという点が、改めて精査をすべき論点として浮き彫りにされました。核兵器禁止条約は、そうした矛盾に向き合うという意義を有するものといえましょう。

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第3部「核兵器禁止条約の法的内容と影響」では、条約の前文、第1条(禁止項目)〜第4条(核兵器の全面的廃絶に向けた措置)の各条について、詳しく解説がなされました。移譲(transfer)、融資、検証の3点については、その内容について、第8条の締約国会議で詳細を詰める必要があるとのコメントがありました。

第4部「対人地雷・クラスター爆弾禁止条約と核兵器禁止条約」では、各条約について、特に使用や貯蔵、被害者に対する援助等に関する規定の内容について比較しながら検討がなされました。

第5部「核廃絶のゴールまでの市民社会の役割」では、2013年のオスロから始まる核兵器の人道上の影響に関する国際会議以降、市民社会の役割が重要であったとの認識が示されました。

セミナーのプログラムは、以下でご覧いただけます。(英語)
https://www.jus.no/kurs-og-opplaering/folkeretten-og-det-nye-forbudet-mot-atomvaapen-hva-betyr-det-og-hvilken-virkning-vil-det-faa/

以上文責:大槻邁(連絡会)

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