「核不拡散条約(NPT)再検討会議にあたっての外務省とNGO・市民社会とのオンライン意見交換会」の開催
2022年8月1日より開催される核不拡散条約(NPT)再検討会議を前に、核兵器廃絶日本NGO連絡会は、同会議における取り組みに関する要請書(こちら)を外務省に提出し、7月20日、オンラインで意見交換会を行いました。午後9時過ぎから約50分にわたり行われた意見交換会には、外務省から石井良実軍備管理軍縮課長、市民社会から10団体12名が参加しました(参加者リストはこちら)。以下、概要を速報します【文責:河合公明(核兵器廃絶日本NGO連絡会幹事)】。
意見交換に先立ち、石井課長は、核兵器廃絶に向け活動に励むNGO連絡会に敬意を表し、NPT再検討会議に向けて、忌憚のない意見交換を行いたいと挨拶しました。
続いて、ピースボートおよびICAN国際運営員の川崎哲NGO連絡会共同代表が、NGO連絡会を代表して挨拶。6月に開催された核兵器禁止条約(TPNW)第1回締約国会議における成果を踏まえ、来たるNPT再検討会議において日本政府が上げるべき成果として、①核兵器国が、これまでの約束を守り、核軍縮に一層努めるよう求めること、②核兵器の非人道性について、最終文書にきちんと書き込むこと、③少なくとも「核兵器を先には使わない」ことを約束するよう核兵器国に求めること、④核兵器の材料を生み出す再処理計画はやめること、⑤核兵器禁止条約の意義を認めて、明記すること、の5項目を要請しました(要請書はこちら)。
これに対し、石井課長からは、概要、以下のような回答がありました。
・①について
これまでのNPTにおける合意は、日本政府としても重要であると考えている。この点は、昨年の国連総会に提出した核廃絶決議でも表明している。ただし、現在の厳しい国際情勢で、過去の合意の履行といった点にまで、今回の再検討会議で辿り着けるかどうかはわからない。
・②について
核兵器の非人道性への認識は、日本政府も重要であると考えている。この点も今回の再検討会議で議論できるかわからないが、NGO連絡会からの要望は認識して会議に臨みたい。
・③について
核の先制不使用は、全ての核保有国が、同時に検証可能な形で実施できるのであれば意義があるだろうが、現状はそうなっていない。したがって日本政府は先制不使用政策を支持しない。
・④について
日本は、包括的保障措置協定や追加議定書を含め、国際原子力機関(IAEA)の査察のもとで透明性を持った政策を実施している。
・⑤について
岸田首相はTPNWについて、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約であると述べており、日本政府もその立場である。その意味においてTPNWの意義を認めている。
その後、河合公明NGO連絡会幹事による進行で、TPNWの意義やNPTとの補完性、NPT再検討会議で日本政府が目指すべき成果、核兵器の不使用の重要性などについて、意見交換が行われました。
※この意見交換会を踏まえ、7月21日(木)11:30~核兵器廃絶日本NGO連絡会による記者会見が行われます。詳細はこちらから(終了しました)。
意見交換会の様子は、以下のメディアで取り上げられました。
NHK「8月のNPT再検討会議を前に 被爆者団体などが外務省に要請」2022年7月21日
NHK World “Hibakusha, NGOs submit demands to Japan govt. ahead of NPT review talks” 2022年7月21日
朝日新聞「「核禁条約の意義、明記を」 NPT会議に向け、被爆者ら政府に要請」2022年7月21日
テレビ新広島「「一層の核軍縮に努力」を要請 NPT再検討会議を目に会見 NGO団体代表 」2022年7月21日
NBC長崎放送「「 ”核兵器廃絶の約束” の再確認と履行を」NPT再検討会議前に市民団体が外務省に要請」2022年7月21日
中国新聞「核軍縮進展 国に要請 NGO連絡会 NPT会議前に」2022年7月22日
読売新聞「長崎被爆者、NPT会議へ…来月 証言も」2022年7月22日