ユース帰国報告:核兵器禁止条約 第1回締約国会合
6月21日からオーストリアのウィーンにて核兵器禁止条約第1回締約国会合が開催されました。同会合には、核兵器廃絶日本NGO連絡会に所属する多くの団体や個人が参加しました。ユース代表としてNGO連絡会から派遣された事務局の浅野英男と遠藤あかりが、現地での活動を最終報告します。
イベントの開催
18日・19日に開催されたICAN市民社会フォーラムにおいて、NGO連絡会の主催によるイベントを開催しました。
・18日「北東アジアの非核化」
現地のウィーン会場に元広島市長の秋葉忠利さん、オンラインで韓国から参与連帯(People’s Solidarity for Participatory Democracy)のハン・スーヨンさんとモンゴルからブルーバナー(Blue Banner)のエンサイハン元国連大使が登壇し、北東アジアの非核化についてシンポジウムを行いました。イベントでは、遠藤あかりが司会を務めました。(イベントのレポートはこちら)
・19日「南オーストラリア・広島・長崎からのライブ中継」
ウィーン、オーストラリア、広島、長崎を中継で結び、オーストラリアから核実験の被害者、広島からきのこ会(原爆小頭症の被爆者と家族の会)、長崎から被爆体験者がそれぞれの被爆体験や締約国会議へのメッセージを届けました。イベントでは、浅野英男が司会を務めました。(イベントのレポートはこちら)
・核禁ウィークin Japan
日本国内向けにNGO連絡会が主催した「核禁ウィークin Japan」の中継イベントにも参加し、現地の様子をレポートしました。
声明の作成と配布
NGO連絡会では、第1回締約国会議に寄せて声明(日本語・英語)を作成し、国連に提出しました(文書番号 TPNW/MSP/2022/NGO/12)。現地では、会議に参加した政府代表や市民社会の代表に声明を配布し、核兵器禁止条約の普遍化に取り組むことを求めました。
アドボカシー活動
締約国会議に参加した政府代表に対して、日本の市民社会が作成した提言(日本語・英語)を手渡し、被害者支援および環境修復(第6・7条)の履行について働きかけを行いました。
ユース・ブログおよびウィーン・レポートの掲載
現地に渡航し様々な活動を行ったユースによるブログ記事(ユース・ブログ一覧はこちら)や、20日に開催された「核兵器の人道的影響に関する国際会議」および21日から23日に開催された第1回締約国会議などに関するレポート(ウィーン・レポート一覧はこちら)を作成し、連絡会ウェブサイトに掲載しました。
ユース代表のコメント
浅野英男
今回のウィーン派遣を通じて、国境を超えた市民社会や国々の連帯が、国際政治を大きく動かし、新たな規範を作り上げるためにどれだけ重要な役割を果たしているのかを肌身で感じました。個人としても、専門的な知識を深めつつ、現場に身を置き続けること、活動し続けることの大切さを感じました。今後も、市民の1人として核兵器なき世界を求める運動に携わっていきたいと決意を新たにしています。ご支援いただいた皆さま、大変にありがとうございました。
遠藤あかり
ウィーンにおける約一週間を通して強く感じたことの1つは、核兵器のもたらす非人道的な結末について、よく広く知られ、理解されるべきであるということです。戦争被爆国の日本だけでなく、核実験によって被害を受けた人々も核兵器の被害者です。存在する核兵器をなくしていくこと同時に、常に議論の出発点となる「人」を忘れてはならないと強く感じました。
もう1つは、今後、条約が具体的な行動計画をもって進んでいく際に、どの国も置き去りにされてはならないということです。被爆者の声や経験が必要とされている中で、日本政府は締約国会議に参加していません。条約に参加しなければ果たせない役割を担っていく必要があるのではないでしょうか。そういった意味でも日本はTPNWに参加し、核被害の援助に対して積極的な姿勢をとることが求められます。
日本とウィーンを繋ぐ経験など、オンラインイベントの成功を通して今後の核廃絶へ向けたアクションを起こしていくうえで、様々な国、団体と交流・協力することが大切だと思いました。
今後は、条約を普遍化させていくことが必要ですが、日本を含めた未批准の国、核保有国を参加させるために引き続き努力を続け、核兵器廃絶に向けた運動に貢献したいと思います。期間中応援していただいた皆様に、心から感謝申し上げます。
この度のウィーン派遣に際して、数多くのご支援やご寄付を賜りました。心より御礼申し上げます。
第1回締約国会議での学びと経験を胸に、核兵器なき世界の実現に向けて、より一層尽力して参ります。
文責:浅野英男(核兵器廃絶日本NGO連絡会 事務局/ 神戸大学博士課程)
遠藤あかり(核兵器廃絶日本NGO連絡会 事務局/ 立命館大学修士課程)