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2026年06月18日

【開催レポート】国会議員討論会「日本の核政策を問う-安保三文書改定をめぐって」

 2026年6月16日、与党・政府が進めている安保三文書の改定に向けた動きに合わせ、日本が取るべき核政策および外交・安保政策について議論する討論会が国会議員会館内で開催されました。討論会の概要と参加者の発言内容は以下の通りです。

 アーカイブはこちら及び以下からご視聴いただけます。

【テーマ】日本の核政策を問う−安保三文書改定をめぐって

【参加者】(敬称略)

各党代表
⚫︎斎藤 アレックス(日本維新の会・政務調査会長 衆議院議員)
⚫︎西岡 秀子(国民民主党・企業団体委員長 衆議院議員)
⚫︎平林 晃(中道改革連合 衆議院議員)
⚫︎田島 麻衣子(立憲民主党・外交部会部会長 衆議院議員)
⚫︎平木 大作(公明党・核廃絶推進委員長代理 参議院議員)
⚫︎古川 あおい(チームみらい・政務調査会長 衆議院議員)
⚫︎山添 拓(日本共産党・政策委員長 参議院議員)
⚫︎ラサール石井(社会民主党・幹事長 参議院議員)

⚫︎川崎哲 核兵器廃絶日本NGO連絡会共同代表/ICAN国際運営委員
⚫︎(司会)浅野英男 核兵器をなくす日本キャンペーン・コーディネーター

※自民党は直前まで参加者を調整したが不参加。参政党と日本保守党は招待状に対して無回答。れいわ新選組は参加予定でしたが、直前の諸事情により欠席となりました。

◎登壇者発言

川崎哲(核兵器廃絶日本NGO連絡会共同代表/ICAN国際運営委員)

 今回の討論会では、核兵器の問題を日本の安全保障政策との関係で議論する。その前提として、2026年3月5日に核兵器をなくす日本キャンペーンが発表した提言「核兵器をなくす-それが日本の安全保障」をもとに発言したい。

 昨年の高市政権の発足後、国家安全保障戦略含む安保三文書の改定を2026年度中に行うことになった。それに合わせて、核政策のテーマに絞って発表した。核軍縮・核廃絶という課題を日本の国家安全保障政策として位置づけることを求めている。

4つの提言は以下の通りである(全文はこちら)。
1. 核抑止のリスクを見直し、「核軍縮は安全保障の手段」と位置付ける
2. 「非核三原則の堅持」こそが、日本の安全を守る
3. 「核兵器の非人道性」の普及が、日本への核使用リスクを下げる
4. 「東アジアでの軍縮対話」で、日本にとっての核の脅威を削減する

◎各党の基本姿勢の表明

斎藤アレックス(日本維新の会)

 我が国を取り巻く安全保障環境はかつてない厳しさに直面している。国民の命と平和を守ることと「核兵器のない世界」に向けて進むことを両立させることが日本の政治の責任だ。現実的な防衛力の強化と日米の緊密な連携によって抑止力を担保し、武力紛争を未然に防ぐ平和への責任を負っていると考える。非核三原則を堅持するという政府方針を前提としつつ、真に実効性のある安全保障環境をいかに構築するか、また核保有国と非保有国の橋渡しとして具体的かつ実践的な軍縮不拡散のプロセスを主導していくべきかをリアリズムに基づいて議論したい。

田島麻衣子(立憲民主党)

 日本の核政策について、人間の安全保障を重視し、唯一の戦争被爆国としての使命を果たす決意だ。被爆者が経験してきた核兵器の非人道性は、戦後日本の歩むべき原点だ。ウクライナ情勢や北朝鮮の脅威を口実に一部から核共有の議論が出ている。大国間で核の均衡が保たれた場合、周辺地域において核を使用しない通常兵器による局地紛争が起こりやすくなるという厳しい現実がある。しかし、その答えは安易な核共有ではないと考える。立憲民主党は、次の3点を柱とする平和創造外交を推進する。①非核三原則の堅持、②核兵器禁止条約へのオブザーバー参加、③ミドルパワーと連携し、核軍縮・核不拡散体制を堅持する。平和外交を積極的に展開し、憲法に基づく専守防衛を堅持しながら、通常戦力による現実的かつ責任ある安全保障政策を進めていく。

西岡秀子(国民民主党)

 安全保障環境の厳しさや核使用リスクや高まり、核のタブーが揺らいでいることに危機感を持っている。また、防衛三文書の改訂のなかで、非核三原則を俎上に載せるのかという議論も始まっている。国是である非核三原則を原理・原則として堅持していくべきだ。各国がNPT第6条を履行するよう、日本がリーダーシップを持って取り組むことが重要だ。被爆者も訴えてきた核の非人道性を日本がしっかり示していくことが、(核を使わせないという意味での)核抑止につながると考える。核兵器禁止条約の第一回再検討会議にオブザーバー参加し、核被害者援助など、日本しか果たせない実効性のある取り組みを進めていくことが重要だ。新STARTが失効したことに危機感を感じている。中国を含めた新しい枠組みを作ることに我が国が取り組んでいくことが重要だ。

平林晃(中道改革連合)

 中道改革連合としてではなく、一議員の見解として発言したい。日本の核政策を考える議論が軍事バランスや核抑止力の議論に偏りがちではないか。核兵器の問題をイデオロギーの問題ではなく国家権力対市民社会の問題として捉えている。被爆の実相の共有こそが市民社会に力を与える。改めて、被爆者の声に耳を傾けなければならない。被爆は81年間の壮絶な苦しみであることを市民の代表たる国会議員がより一層理解する必要があると考える。日本政府に被爆国としての原点を問い直し、安保三文書に非核三原則を明示させていくモメンタムを起こしていきたい。

平木大作(公明党)

 NPT再検討会議では、3回連続での合意失敗となった。その第一義的な責任は核保有国にある。日本政府には高市総理の参加を求めたが、首相・外相ともに早々に不参加を表明し、核をめぐる問題の優先順位の低さが露呈した。とはいえNPT会議が無駄であったとは考えない。最終成果案の第一ドラフトには、核の先制不使用なども言及されており、次につながるものがあった。安保三文書改定に向けて、さまざまな議論が行われている。非核三原則の見直しもアジェンダに乗るか、瀬戸際にある。国会の中で議論し作り上げてきたのが、非核三原則である。だからこそ、政府・与党の一任でなくして良いものではない。唯一の戦争被爆国である日本のアイデンティティと深く結びつき、国是となっている非核三原則を断じて守るべきである。

古川あおい(チームみらい)

 平和主義、専守防衛、非核三原則の堅持をマニフェストに明記している。日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。昨今のドローンやサイバー攻撃、AIの活用などにより攻撃の高度化に備えていかなければならない。だからこそ、被爆国である日本には核兵器のない世界を目指して実現に向けた国際的な努力に貢献していく責任がある。党として開かれた、建設的な議論を志向している。安全保障や核に関する議論も事実や国民の理解に基づき進めていきたい。

山添拓(日本共産党)

 川崎共同代表から提案のあった四つの提言にいずれも賛同する。政府は抑止力・対処力の強化にひた走っている。しかし核抑止力論は、いざという時に核を使うという脅しであり、広島・長崎の地獄を再びもたらすのをためらわない姿勢を意味する。核抑止と核の非人道性は相容れないものだ。また、核抑止論は安全保障の観点からも合理性がない。失敗する可能性があることは疑いの余地がなく、失敗すれば世界の破滅的状況になりかねない。米国やロシア、イスラエルは武力行使をしており、核は戦争を抑止していない。核廃絶と核抑止力への依存は両立しない。核兵器禁止条約に参加し、すべての国の安全のために核廃絶に踏み出すべきであり、安保三文書の改訂で非核三原則を撤廃することは許されない。

ラサール石井(社会民主党)

 (川崎共同代表からあった)四つの提言はすべてその通りである。核兵器禁止条約に署名・批准することは日本の使命であると思う。核抑止論への対案は、近隣諸国・東アジアで合議体を作り、各国の署名・批准を進めていくことである。2006年に採決した社会民主党宣言において、北東アジア地域の非核化と多国間の総合的な安全保障機構の創設に取り組み、緊張から平和と協力のアジアに転換することだ。戦争や原爆のリアリティとそれを繰り返してはならないという共通認識が薄れたときに、戦争に向かいかねないと危惧している。被爆者の記憶と核廃絶の願いを制度化し、次の世代に繋いでいかなければならない。

◎各党の代表のまとめ発言

斎藤アレックス(日本維新の会)

 日本が核兵器を保有していない国として、核廃絶に向けた役割を担っていく必要があることが共通認識であると確認できた。現状の国際情勢の中で、どのような安全保障政策を取るべきかについては様々な立場から議論があった。日本維新の会としては、日米同盟が日本の安全保障政策の基軸であり、それを堅持しながら日本の平和を守りつつ、それと同時に核兵器を廃絶する国是を実現していきたい。

田島麻衣子(立憲民主党)

 次回は一党でも多く、特に自民党に参加してもらい議論をしていきたい。平和創造外交を実現しながら、ミドルパワー諸国と連携し、憲法の理念に基づいた政治を実現していきたい。

西岡秀子(国民民主党)

 国会議員一人ひとりが核廃絶への思いを発信し、国会で発言していくことが重要だ。核兵器の非人道性を国会議員が訴えていくことが、核使用のリスクを下げると考える。国連がいま進めている「核戦争の影響に関する科学パネル」の東アジア会合をぜひ長崎や広島で開催することに賛成する。このパネルの成果を非人道性を伝えるツールとして取り組むべきだ。

平林晃(中道改革連合)

 日本は核兵器国と非核兵器国の橋渡しをする役割があるのに、どちらかの陣営によってしまっているのではないかと危惧する。本来の平和国家としての役割やリーダーシップを発揮できるよう、国会議員が責任をしっかり果たしていきたい。

平木大作(公明党)

 日本から核抑止のあり方をもう一度、問い直すべきである。日本政府が設置した賢人会議は、核抑止は危険な基盤であると言い、核抑止から脱却しなければならないと指摘している。非核三原則は断固守るべきだし、そこで終わってはならない。核の不使用規範には言及がないからだ。非核三原則を守りながら、核なき世界の出口と言われる核兵器禁止条約だと思う。そこに向けた道筋を作るのがわれわれ政治家の仕事だと訴えたい。

古川あおい(チームみらい)

 核のない世界を目指すという点では、今日参加していない党を含めて、思いを共有できるのではないかと感じた。議論の中では、AIをはじめとする新しい技術に対する懸念もあった。新しい政党、技術に強い政党として何ができるか考えていきたい。非核三原則の堅持、核廃絶への思いを胸に、議論に貢献していきたい。

山添拓(日本共産党)

 NPTの議論でもあったが、「究極的な」核廃絶などと遠い彼方の問題にしてはならない。その際、私たちの国ではアメリカとの関係が問題になる。日米同盟が基軸と言われるが、ある特定の国との関係のみを基軸とする外交政策を取る国は世界にほとんどないと思う。ASEANのような東南アジアの国々とも包摂的な関係で、対話と協力の地域を作っていくことが大事である。今日、提言も多くの人が見ることのできる国会審議で活かして世論を広げられるように協力したい。

ラサール石井(社会民主党)

 非核三原則を現実に合わせて、「持ち込ませず」のところを議論しよう、あるいは時代に合わせて憲法を改正しようとすることに非常に恣意的なものが作用すると思っている。むしろ原則や憲法に現実を合わせていく姿勢がなければ、核兵器を廃絶する目標には向かっていかないと考えている。

当討論会の様子は下記のメディアで取り上げられました。
⚫︎東京新聞「【各党発言】非核三原則をどうする? 国会議員討論会に自民は欠席、参加8党から「見直し」の言及はなし」(6月16日)
⚫︎公明新聞 「非核三原則、断じて守る 核廃絶へ日本が世界リード 討論会で平木、中道・平林氏」(6月17日)
⚫︎しんぶん赤旗「非核三原則」撤廃許されぬ/安保3文書改定巡り山添氏/国会議員討論会 」(6月17日)
⚫︎中国新聞「核政策を与野党で議論 安保3文書巡り8党議員」(6月17日)

インターン 大石雅人

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