NGO News

2019年05月02日

【2020年NPT再検討会議・第3回準備委員会③】市民社会による活動

5月1日(水)午前10時から、市民社会に発言の機会が与えられました(NGOプレゼンテーション)。ここでは、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)、核兵器を憂慮する宗教コミュニティ、広島・長崎両市長、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)、科学と世界の諸問題に関するパグウォッシュ会議、核政策に関する法律家委員会など、16人のスピーカーが登壇しました。

日本被団協からは、濱住治郎事務局次長が登壇。広島の胎内被爆者としての体験を語りました。濱住さんは、「戦争は終わっていません。いまだに世界に14500発もの核兵器が存在しているからです」と述べ、「原爆は、74年たった今でも、被爆者のからだ、くらし、こころに被害を及ぼしています」と訴えました。

そして、2016年4月、「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」を開始したことに触れ、「平均年齢80歳を超えた被爆者は、後世の人々が生き地獄を体験しなくて済むよう、生きている間に何としても核兵器のない世界を実現したい」と訴えました。そして、この準備委員会で、「940万人を超える署名を提出させていただきます」と述べました。

さらに、2017年に採択された核兵器禁止条約に言及しつつ、「2000年の再検討会議で合意され、2010年に再確認した『保有核兵器の完全な廃棄を達成するとの核兵器国のよる明確な約束の履行』をすみやかに実行してください」と訴えました。最後に、「核兵器も戦争もない青い空を世界の子供たちに届けることが、被爆者の使命であり、全世界の大人一人ひとりの使命ではないでしょうか」と述べて、スピーチを結びました。

被団協の発言内容はこちら

ICANは、アメリカのイニシアティブである「核軍縮のための環境作り」(CEND)は、「巨大な核兵器の近代化プログラムから人々の目をそらせるべきではない」とし、「賢明な政府は中身のない言葉に惑わされることはなく、軍縮のための環境を真に作り出すのは、核兵器を拒否する核兵器禁止条約のような措置を通してであることを認識している」と指摘しました。そして「核兵器禁止条約を支持するという選択が、核軍縮のための環境を真に作り出すためにとりうる行動である」と述べました。

ICANの発言内容はこちら

その他、日本からは、平和首長会議の松井一實広島市長、田上富久長崎市長、原水爆禁止日本協議会の土田弥生事務局次長が登壇しました。また日本反核法律家協会が賛同者に加わった「核政策に関する法律家委員会」が声明を発表するとともに、創価学会インタナショナル(SGI)や立正佼成会が参加する「核兵器を憂慮する宗教コミュニティ」(53団体と個人が参加)が、宗教コミュニティとしての共同声明を発表しました。

広島市長の発言内容はこちら

長崎市長の発言内容はこちら

日本原水の発言内容はこちら

日本反核法律家協会が参加する核政策に関する法律家委員会の発言内容はこちら

核兵器を憂慮する宗教コミュニティの発言内容はこちら

午前中のセッションの終了後、午後1時過ぎから、サイード・ハスリン議長と中満・国連軍縮担当上級代表に、941万筆余りのヒバクシャ国際署名が提出されました。

午後3時からは、ナガサキ・ユース代表の主催によるサイドイベント「To inherit the consciousness all humans are HIBAKUSHAs(人類みなヒバクシャという意識を継承する)」が行われました。主催者の皆さんは、「半年間の準備をかけて、代表団なりに被爆者の定義について考える機会を提供できました」と語っていました。

同時刻には、中満・国連軍縮担当上級代表と準備委員会に参加している市民社会の意見交換会も行われ、核兵器廃絶日本NGO連絡会からも代表が参加しました。日本から参加した学生からは、「NGOの活動の役割を感じる良い経験になりました」との感想が寄せられました。(国連軍縮局による報告はこちら

文責:河合公明(創価学会平和委員会事務局長)

NGOプレゼンテーションやヒバクシャ国際署名提出の様子は、広く報道されました。

NHK 2019.5.2 NPT会合 米ロ対立で核軍縮進まない現状に強い危機感

朝日新聞 2019.5.2 胎内被爆者「戦争終わっていない」 ニューヨークで演説

共同通信/ロイター 2019.5.2 NPT準備委で被爆者が証言

TBSニュース 2019.5.2 広島・長崎市長が核軍縮訴え、NPT準備委

日テレNEWS24 2019.5.2 田上市長「核兵器の脅威の削減を」

読売新聞 2019.5.3 核禁止条約「締結を」署名941万筆、目録提出

毎日新聞 2019.5.3 NPT準備委 核廃絶、941万筆署名提出 被団協「世界の大勢」

東京新聞 2019.5.3 「核兵器廃棄の約束履行を」胎内被爆者、国連で訴え NPT再検討準備委 広島・長崎市長も演説

時事通信 2019.4.30 被爆者、軍縮大使と面会

共同通信 2019.5.1 被団協事務局長、軍縮大使と会談 核禁止条約署名を要望

長崎新聞 2019.5.3 核軍縮へ「米露対話を」NPT準備委で田上市長が演説

しんぶん赤旗 2019.5.3 ヒバクシャ署名941万人分提出 NPT準備委に被団協

毎日小学生新聞 2019.5.4 核廃絶署名941万筆を提出 日本被団協

聖教新聞   2019.5.6   アメリカ・ニューヨークでNPT再検討会議準備会合   SGIの代表が参加 宗教間の共同声明を発表

Kyodo May 2, 2019 A-bomb survivor continues mission for nuke-free world

NHK May 2, 2019 Hibakusha calls for abolition of nuclear arms

Mainichi/Kyodo May 2, 2019 More work needed ahead of 2020 NPT treaty review: envoy

Japan News/Jiji May 2, 2019 A-bombed cities urge quick implementation of nuclear ban treaty

UN Office of Disarmament Affairs May 3, 2019 High Representative Nakamitsu joins Ambassador Syed Mohamad Hasrin Aidid, Chair of 2019 NPT Preparatory Committee, in Accepting “Appeal of the Hibakusha” petitions presented by Nihon Hidankyo

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