NGO News

2023年01月22日

【声明】核兵器禁止条約の普遍化と日本の参加を改めて求める

1月22日、核兵器禁止条約が発効して2年が経ちました。これにあたり、核兵器廃絶日本NGO連絡会は6名の共同代表名で、以下の声明を発表しました。

核兵器禁止条約の普遍化と日本の参加を改めて求める
――条約発効2年にあたってのNGO声明――

 核兵器禁止条約が発効して2年が経った。
 被爆者や核実験被害者たちが被ってきた「受け入れがたい苦痛」を心に留め、非人道的兵器たる核兵器を全面禁止したこの条約は、着実に署名・批准を伸ばし、2021年1月22日に発効し、今日までに92カ国が署名し68カ国が締約国となった。核保有国や日本を含む核依存国の政府はいまだに条約に背を向けているが、これらの国々の国会議員、地方自治体そして市民社会では条約への賛同が広がっている。金融界では核兵器への投資を忌避する動きが進むなど、核兵器の禁止は世界的な規範として強固なものになりつつある。
 その一方で、昨年2月にロシアが始めたウクライナへの侵略戦争は、核兵器の使用が現実の切迫した脅威であることを世界に改めて示した。
 私たちは、ロシアに対して、即時に戦闘を止めウクライナから完全に撤兵するとともに、あらゆる核兵器の威嚇をやめるよう強く求める。そして、他のすべての核保有国に対しても、「核抑止」という名の、核兵器を使用することを前提とした威嚇政策をやめるよう求める。
 核の脅し合いは、人類の生存そのものを危機に陥れる。核兵器の使用・威嚇の全面禁止こそ、国際社会がいま受け入れるべき規範である。
 昨年6月の第一回締約国会議を経て、核兵器禁止条約の普遍化、核廃棄の検証、核被害者援助と環境修復、ジェンダーと核軍縮など、重要かつ具体的な議論が核兵器禁止条約締約国とNGOの協力により進められている。広島・長崎の原爆被害者を含む日本の市民社会は、こうした動きに積極的に関与し、今年11~12月の第二回締約国会議で核兵器廃絶に向けたさらなる前進を果たすべく貢献していく。
 日本政府が米国との軍事協力関係を強め、核抑止力への依存を高めていることに対して、私たちは危機感を抱いている。私たちは、日本政府に対して、現在の政策を転換し核兵器禁止条約に署名・批准することを求める。その目標に向けて、日本政府は、第二回締約国会議には少なくともオブザーバー参加して、核被害者援助などの面で被爆国としてなすべき責任を果たすべきである。
 来る5月のG7広島サミットは、こうした日本の姿勢を国際的に明らかにする重要な機会である。被爆地広島において、G7首脳が核兵器の非人道性に関する認識を明確に表明し、核兵器廃絶の達成を誓約すると共に、そのための核兵器禁止条約の意義を確認することを求めたい。岸田文雄首相は、そのために指導力を発揮すべきである。

2023年1月22日
核兵器廃絶日本NGO連絡会

共同代表
足立修一 (核兵器廃絶をめざすヒロシマの会代表)
伊藤和子 (ヒューマンライツ・ナウ副理事長)
大久保賢一 (日本反核法律家協会会長)
川崎哲 (ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員)
田中煕巳 (日本原水爆被害者団体協議会代表委員)
朝長万左男 (核兵器廃絶地球市民長崎集会実行委員長)

お問合せ先 核兵器廃絶日本NGO連絡会 <nuclear.abolition.japan (a) gmail.com>

PDF版はこちら

CATEGORY

ARCHIVE