2023TPNWユースブログ①ーユースオリエンテーションとサイドイベント(平和首長会議)に参加して
私は、KNOW NUKES TOKYOのメンバーで、国際基督教大学1年の山口雪乃です。今回の核兵器禁止条約第2回締約国会合では、ニューヨークに滞在して、会議の内容や、キーパーソンへのインタビューを通して皆さんに情報をお届けしたいと思っています。今回は、会議初日の現地時間27日に行われた2つのイベントについてお伝えします。
11月27日8時30分(現地時間)からは、米国ニューヨークに拠点を置く市民社会団体であるリバース・ザ・トレンド(Reserve the trend:RTT)が主催するユース・オリエンテーションがアイルランド大使館で行われました。各国からの若い活動家たち60名以上が集い、第2回締約国会合を前に、お互いをエンパワーメントし合う時間を持ちました。アイルランド大使の挨拶の後に、赤十字国際委員会(ICRC)が作成した、核兵器が使用された場合、どのような状況に陥るのかを描いたアニメーションが上映され、核兵器がいかに非人道的で、取り替えしのつかない事態を招くのかを改めて確認しました。その後、核兵器の影響を受けた地域(Affected Communities)からの活動報告として、ICRCユースとして参加している高垣慶太さんとマーシャル諸島での核実験被害について活動するベネティックさんがそれぞれスピーチをしました。
高垣さんは、自身の親族の被爆に関する話や、高校時代から核兵器廃絶のための活動に関わってきたこと、そして、今夏セミパラチンスクの核被害コミュニティを訪れたことを紹介し、「核兵器の非人道的な影響によって今もなお苦しんでいる人々がいます。彼らの身に起こったことを覚えて、私たちができることを継続させる時です」と述べました。最後に、国連軍縮部の担当者が、学生時代から数年にわたり活動を続けている日本人などの活躍を紹介し、「Continue your journey!」と、それぞれの活動を継続させることの重要性について呼びかけてました。
27日10時からは第2回締約国会議が始まると同時に、国連内外の会場でサイドイベントも複数開催されています。その1つとして、平和首長会議が主催した「核兵器のない世界のための市民社会の声(Voices of Civil Society for a Nuclear-Weapon-Free World)」では、長崎と広島からの被爆者2名と両市の市長が登壇し、KNOW NUKES TOKYOの中村涼香さんがファシリテーターを務めました。国連内の会議室を参加者が埋め尽くした本イベントでは、各登壇者から、昨今の情勢を踏まえて改めて核兵器廃絶の重要性が協調されました。さらに、今年5月のG7広島サミットに合わせて広島へ渡航した大学生らも登壇し、その時の写真を見せながら、被爆者の声を直接聞ける最後の世代だということを改めて実感したと語りました。
このイベントは、同じテーブルに被爆者をはじめ、行政や海外の若者、被爆者の血縁者など、幅広い人々が揃っていたことが特徴的だったと感じました。広島で被爆した箕牧智之さんは、行政にも被爆者にも、平和活動や核兵器廃絶に関する運動に携わる(自分たちよりも)若い人たちを育て、その人数を増やしていく責任があると語りました。また、長崎の朝長万左男さんも、被爆証言の旅を行い、被爆者だけでなく2世や3世こそがこれから重要な役割を担っていくことを予感したと述べました。このように、核兵器をなくす動きが被爆者や行政だけの単体では成り立たない段階にあることが協調され、登壇者からは、被爆者や若者といった世代を超えた取り組みについての言及が多くみられたことが非常に印象的でした。
政治家や専門家に限らず、学生など様々な市民社会のアクターが世界中から集う1週間。核兵器を本気でなくそうと取り組む人々の動きをこれからさらに発信していこうと気持ちを引き締めた1日となりました。日本の皆さんが、このユース・ブログやSNSなどを通して、少しでも核兵器の問題に親近感を持ち、考えるきっかけになれば幸いです。お読みいただきありがとうございました!
KNOW NUKES TOKYO 山口雪乃