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2020年05月14日

大使館応援ツアー2020 ~めざせ核兵器禁止条約発効~:ツアーを振り返って

3月下旬に2週間にわたり展開してきた「大使館応援ツアー2020」は、7か国の大使館・名誉領事館の訪問を終え、無事に終了しました。訪問が実現したのは、次の7か国です。インドネシア、モンゴル、アルジェリア、ザンビア、ジンバブエ、コモロ、東ティモール(訪問順)。

緑:核兵器禁止条約を批准している国

黄:今回、大使館を訪問した国

今回の訪問では、被爆者が被爆体験を、また学生がそれぞれの思いを伝え、各国に核兵器禁止条約の早期批准を要請しました。各国大使の反応は様々でしたが、この面会の内容を本国に伝え、広島・長崎の苦しみを共感し、核なき世界に向けて尽力する意志を示されました(国別の訪問レポートは、NGO連絡会のホームページに掲載していますので、詳細はそちらをご覧ください)。

遠藤あかり(明治大学4年)と高橋悠太(慶応義塾大学2年)が、この企画の運営を担わせていただきました(両名ともにNGO連絡会事務局スタッフ)。ツアーを終えた、それぞれの感想を記します。

遠藤あかり:核兵器禁止条約への署名や批准の状況については、インターネット等を通して知ることができます。しかし今回、各国大使との対話で感じることができたことは、被爆者の方々の未来への思いを受け止め、核兵器廃絶、平和への積極的な態度をとっていきたいという、それぞれの国で育ち、国の代表として私たちと交流して下さったひとりの「人」の生きた声でした。これは異なるアイデンティティを持つ人々が核兵器廃絶という同じ目標に向かって、ともに平和を目指し協力していくことができるということだと思いました。このような対話を重ねていくことで、核兵器廃絶を実現できるのではないかという期待が持てました。

この活動は、署名や批准に至っていない国へアピールするという政治的な運動の一面を持っています。それと同時に、若者が被爆者と交流しながら、核兵器廃絶などの社会問題について、深く思考していく過程でもありました。このような機会は、若い世代が自ら取り組む学びの場、教育の場になりうるのではないかと考えています。

特に今年は、被爆75年を迎えます。この75という数字はどの世代にとっても、どの国の立場をとっても大きな意味を持っています。私自身、この機会に改めて、核兵器禁止条約、核兵器廃絶について向き合っていきたいと思います。

高橋悠太:「大使館って、行けるんだ。大使って会ってくれるんだ」。参加した学生全員が感じた素朴な発見でした。私も、その1人です。私は、4か国の訪問に携わりましたが、歓迎のスタイルも、話の展開も、それぞれ全く異なります。時には、名産品をご馳走になったり、お土産をいただいたりしました。まるで世界旅行をしているみたい。毎訪問、心からワクワクしていました!

しかし、その「会ってくれる」の最大の要因は、被爆者の方々がおられたことに他なりません。各国大使館で、被爆者の方々から憎しみを超えた、平和へのメッセージが発されました。それは大使の胸に深く刻まれ、本国にも通達されたと確信しています。
さらに今回、核廃絶のためにアクションを起こそうとする同世代の頼もしい仲間ともたくさん出会うことができました。彼らの熱意に触れ、私の活動へのモチベーションも上がりました。

しかし、今回訪問したのは、「まだ」7か国です。訪問できた大使館とも連携を取りつつ、さらに多くの国に核兵器廃絶へのメッセージを届けたいと思います。

427日、オンラインで大使館応援ツアーの報告会を開催しました。

このツアーに参加した9名の高校生・大学生と4名の被爆者、川崎哲ICAN国際運営委員らが感想を発言しました。約60名に、ご参加をいただきました。 

被爆者の方々からは、「私たちの反核・平和の思いを各国に届けることができた。核兵器禁止条約は、残り14か国の批准をもって発効される。1日も早く、それを実現するために、平和への訴えを続けていく。また、若者が頑張ってくれていて本当に嬉しい。頼もしく思った」などの、コメントをいただきました。

学生からは、各国の核兵器禁止条約に関する状況、大使館訪問を経験して自分と社会にどんな変化があったのかについて報告がありました。それぞれが、今回の経験をどう社会に還元し、核兵器廃絶のためのアクションにどのように生かすのかを真剣に考え、情熱的に決意を述べてくれました。彼らの力強いコメントの一部をご紹介いたします。

「このツアーに関する私のSNSでの投稿を見た友人からもリアクションがあった。多くの人が、核兵器の問題に興味を持つきっかけになってほしい。」

「面会時、『私は、日本の禁止条約参加のために努力をするから、大使もあなたの国が署名・批准するように尽力してほしい』と訴えた。平和への約束を交わしているようだった。」

「国の大小は関係なく、核廃絶へどの国も尽力することが大事だと感じた。」

「政府・政策に直接アプローチをすることを体験できて面白かった。同様の働きかけをどんどんやってみたい。いや、やっていかないといけない。こういう取り組みを通して、私たちは世界を変えられる。」

新型コロナウイルスの拡大を受け、訪問が直前にキャンセルになった国もいくつかありました。状況を見つつ、今後の展開を考えていきたいと思います。

結びに、一緒に大使館を訪問してくださった被爆者の方々や学生、運営に携わってくださった仲間、受け入れてくださった大使館関係者の皆さま、そして、このプロジェクトにご賛同いただきNGO連絡会のブログやSNSなどに関心を寄せてくださったすべての皆さまに心から感謝と敬意を表します。本当にありがとうございました。

(遠藤あかり・高橋悠太)

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