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2022年10月07日

「国連総会第一委員会などに向けた日本政府とNGO市民社会との意見交換会」レポート

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現在、ニューヨーク国連本部では国連総会が開催されています。さらに11月には国際賢人会議、明年5月にはG7広島サミットの開催が予定されています。この機会を捉え、核兵器廃絶日本NGO連絡会は、10月6日、外務省との意見交換会をもち、要請書を提出。その後、記者会見を行いました。午前10時から65分にわたり行われた意見交換会には、外務省から伊藤茂樹・軍縮科学部審議官、市民社会から9団体11名が参加しました(参加者リストはこちら)。以下、概要をレポートします。【文責:河合公明 / 遠藤あかり(核兵器廃絶日本NGO連絡会)】

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意見交換に先立つ挨拶で伊藤審議官は、先日核兵器廃絶日本NGO連絡会と国連広報センターが共催で行った「核兵器全面的廃絶のための国際デー」の記念シンポジウムに参加したことに触れ、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶に向けてしっかりと努力していきたい。厳しい道のりではあるが、核兵器のない世界を追求していくために、市民社会、NGOの話を聞くことが重要であり、現実的な取り組みを一歩一歩進めていくために尽力していきたいと述べました。

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続いて、ピースボートおよびICAN国際運営員の川崎哲NGO連絡会共同代表が挨拶。ロシアによるウクライナ侵攻や朝鮮半島の緊迫した状況の中、われわれ市民社会は核兵器の廃絶に向けた行動が緊急に必要だと考えている。今年8月に行われたNPT再検討会議がロシアの反対により決裂に終わったことを踏まえ、今後どのように核兵器の廃絶に取り組んでいくのかが重要だと述べました。こうした問題意識を踏まえて日本政府に対し、➀ロシア以外の締約国にはコンセンサスがあった NPT 再検討会議の最終文書案に盛り込まれた事項を日本決議案に入れること、②核兵器禁止条約の促進を訴える内容の国連総会決議案に賛成すること、③国際賢人会議についての情報提供および被爆者や NGO との意見交換の場を設けること、④ユース非核リーダー基金についての具体的な内容の共有および教育機関・NGOなどと連携すること、⑤核被害者に対する援助に積極的な貢献をすること、⑥G7 広島サミットについて、準備段階から被爆者団体やNGOと意見交換の場を設けることの6項目を要請しました。要請書は、⽇本原⽔爆被害者団体協議会(⽇本被団協)事務局次長の和田征子NGO連絡会幹事から伊藤審議官に手渡されました(要請書はこちら)。

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これに対し伊藤審議官は、唯一の戦争被爆国として核兵器の廃絶に向けて責任を果たしていく皆さんのような活動は重要であり、協力していきたいと述べました。

その後、川崎共同代表による進行で、伊藤審議官との意見交換が非公開で行われました。そこでは、核兵器禁止条約とNPTの補完性についてや、核兵器の非人道性に立ち返る必要性、核兵器の不使用の重要性、ロシアによるウクライナ侵攻、日本周辺諸国の緊張関係を踏まえた安全保障問題などについて意見交換がなされました。要請6項目に関しては、以下の認識が示されたというのがNGO連絡会としての受け止めです。

・➀について
核兵器禁止条約は、核兵器のない世界を実現するための出口として重要だと認識している。NPT再検討会議の最終文書は採択されなかったが、条約の重要性は変わらない。日本決議案の文言については調整中であるが、多くの国から支持を得られるように努力したい。

・②について
我が国の立場に沿って対応していきたいと考えている。

・③について
核兵器保有国や非保有国から前職あるいは現職の閣僚や政府高官などが自由闊達に意見交換をする場として年内に開催する準備を進めている。核兵器のない世界に向けて様々な議論がなされ、具体的な道筋が見えるような成果に期待したい。詳細については調整中である。

・④について
国連と密に協力していく必要があり、協議を行っている段階である。未来のリーダーたちに被爆の実相に触れてもらい、グローバルな交流を後押ししたい。

・⑤について
既存の支援制度の範囲を超えた支援についてお答えすることは難しい。日本が締約国ではないことから、信託基金について申し述べることは差し控えたい。

・⑥について
核兵器の惨事を二度と起こさないよう被爆の実相を伝えていくことが、核兵器のない世界への出発点である。唯一の戦争被爆国としての責任を果たす所存である。今後、国際賢人会議とG7の開催が控えている。核軍縮という面でこれらの国際会議を被爆地で開催することは有意義である。

大久保賢一NGO連絡会共同代表はおわりの挨拶で、伊藤審議官と意見交換をすることができたことに感謝の意を表しました。その上で、日本政府とNGOのスタンスに違いがあることを認識しつつも、核兵器のない世界を目指すことを共有し、誠実に話し合いを進めていくことが重要であると述べ、意見交換会が終了しました。

意見交換会の様子は、以下のメディアで取り上げられました。

NHK「被爆者団体など “核軍縮や廃絶へ具体的取り組みを” 政府に要請」(2022年10月6日)

NHK長崎「北朝鮮ミサイル発射 被爆者団体などが核軍縮や廃絶で要請」(2022年10月6日)

中国新聞「サミット議題に被爆者意見の反映を 核兵器廃絶日本NGO連絡会が外務省に要請」(2022年10月6日)

NHK World “NGOs, hibakusha urge Japan to take action for nuclear disarmament” (2022年10月6日)

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