「核兵器禁止条約第2回締約国会議に向けたNGO共同記者会見」レポート
11月16日、東京都内で核兵器廃絶日本NGO連絡会(以下、NGO連絡会)が主催し、核兵器禁止条約第2回締約国会議(11月27日~12月1日、ニューヨーク国連本部にて)に向けたNGOの代表者らによる共同記者会見を行いました。ハイブリッドで19名が発言しました。前半は、同日午前中に行った外務省との意見交換会の概要を報告し、その後に第2回締約国会議の参加者が、現地でのとりくみや参加に向けた決意を語りました。(意見交換会に関するレポートはこちらから)。記者会見のアーカイブは、YouTubeからご覧になれます。【文・写真:稲原真一(日本キャンペーンボランティア)】
オブザーバー参加は核兵器廃絶の入口
NGO連絡会は外務省との意見交換会で、①核兵器禁止条約第2回締約国会議への日本政府のオブザーバー参加、②国際賢人会議第3回会合で被爆者団体やNGOと賢人会議委員らが意見交換をする場を設ける、という2点の要請を行いました。
ピースボート共同代表およびICAN国際運営委員の川崎哲さん(NGO連絡会共同代表)は「私たちとしての受け止め」とした上で「外務省は核兵器禁止条約以外の核軍縮へのとりくみは熱心に説明するが、要請に対して、正面からの返答はなかった。核保有国の参加がないことやアメリカへの配慮を理由に、参加しないとしか受け取れない」と述べました。反核法律家協会の大久保賢一会長(NGO連絡会共同代表)は「政府が核兵器禁止条約は『出口』と言いながらオブザーバー参加もしないのは『入り口』にも入らない。やっていることがあるというのなら、せめてそのことを締約国会議の場で発言すべきだ」と強調しました。
日本原水爆被害者団体協議会の田中煕巳代表委員(NGO連絡会共同代表)は「今の日本政府は核兵器の軍縮は考えていても、『廃絶』することは考えていないのではないかと感じた。安全保障のために核の抑止力は必要であるという、被爆者の要求とはまったく別の方向」と指摘。同事務局次長の和田征子さん(NGO連絡会幹事)は「今すぐに核兵器禁止条約に署名、批准できなくても、これまで被爆者が積み上げてきた知見など、被爆国として世界に発信できることはたくさんある。せめて締約国会議にオブザーバー参加して、核なき世界への入口に立ってほしい」と訴えました。
多彩なとりくみ、決意を共有
続いて、第2回締約国会議議題やスケジュールなどの概要をお話しました。世界から120以上のNGOの参加登録があり、NATO加盟国のドイツやノルウェー、オーストラリア、スイスなどのオブザーバー参加が表明されていることを報告しました。注目点として、核被害者の救済に向けて被害当事者を交えた議論が行われること、各国の国会議員が参加する会議が行われ日本の国会議員も多数参加することを紹介しました。
続いて現地参加を予定している被爆者、医療従事者、法律家、宗教者、学生、市民など、広範な立場の各団体の代表が、現地でのとりくみや決意を発言しました。会議の傍聴や発言のほか、NGOが企画するさまざまなサイドイベントや日本大使館・核保有国への要請・抗議行動、参加各国の代表との懇談、オンラインでのリアルタイムの報告企画など、現地での予定を共有しました。
核兵器廃絶日本NGO連絡会から代表派遣される事務局の浅野英男さんは、ニューヨーク現地では本会議のほかに、世界各国のNGOによる多様なサイドイベントが行われ、そうした現地の様子を生中継で伝える「世界中継2023冬~ニューヨーク核兵器禁止条約速報~」を実施することなど意気込みを語りました。
発言者は下記の皆さんです(対面、オンライン別、主要なご所属名の五十音順)。各団体の発言資料はこちらからご覧いただけます。
【対面出席】
大槻邁(核兵器廃絶日本NGO連絡会)
松久保肇(原子力資料情報室)
安井正和(原水爆禁止日本協議会)
藤本泰成(原水爆禁止日本国民会議)
神谷昌道(世界宗教者平和会議日本委員会)
田中煕巳(日本原水爆被害者団体協議会)*
和田征子(日本原水爆被害者団体協議会)
大久保賢一(日本反核法律家協会)*
中村涼香(KNOW NUKES TOKYO)
渡辺洋介(ピースデポ)
川崎哲(ピースボート)*
渡辺里香(ピースボート)
*=核兵器廃絶日本NGO連絡会共同代表
【オンライン出席】
光武鮎(核戦争に反対する医師の会(反核医師の会より代表派遣))
石崎明珠(核戦争に反対する医師の会学生部会(反核医師の会より代表派遣))
浅野英男(核兵器廃絶日本NGO連絡会)
大内由紀子(Connect Hiroshima(原水禁より代表派遣))
河野絵理子(長野反核医療者の会(長野県原水協より代表派遣))
木戸季市(日本原水爆被害者団体協議会)
佐久間邦彦(広島県原爆被害者団体協議会(広島県原水協より代表派遣)
「日本で現地にいないのは政府だけだ」
会見の最後、川崎哲NGO連絡会共同代表は記者からの「締約国会議にNGOはどのように臨むか?」との質問に答え、「これだけの幅広い団体、世代が参加する、それはつまり日本が参加しているということ。被爆者や被爆地の首長、国会議員も参加する。現場にいないのは日本政府だけ。日本の社会は核兵器禁止条約を評価し、実施に貢献をしようとしている。この市民社会の動きを見て、残りの期間で日本政府にも参加を決定してもらいたい」と呼びかけました。
以上
意見交換会および、共同記者会見の様子は、以下のメディアで取り上げられました。
NHK「核兵器禁止条約締約国会議 日本も参加を 被爆者など政府に要請」(2023年11月16日)
朝日新聞「被爆者らが外務省と意見交換 核兵器禁止条約締約国会議へ出席を要請」(2023年11月16日)
長崎NBC「『オブザーバー参加に日本政府は一貫して消極的』核兵器禁止条約 締約国会議 NGOらが要請」(2023年11月16日)
共同通信「日本の不参加『政府だけ』核禁止条約会議前にNGO会見」(2023年11月16日)
TSS「核禁条約・締約国会議を前に 被爆者団体などが日本政府にオブザーバー参加を要望」(2023年11月16日)
しんぶん赤旗「核禁締約国会議参加を」(2023年11月17日)
RCC「オブザーバー参加 日本政府に粘り強く求める 27日から核兵器禁止条約締約国会議」(2023年11月17日)