【開催レポート】国会議員討論会「被爆81年 日本の選択を問う」
2026年8月5日、被爆81年を迎えるにあたり、安保三文書の改定や11月から開催される核兵器禁止条約(TPNW)第1回再検討会議に向けて議論する国会議員討論会が広島市内で開催されました。
【討論会の概要】
・テーマ:被爆81年 日本の選択を問う
・参加者(敬称略)
⚫︎中満 泉 国連事務次長・軍縮担当上級代表
⚫︎田中 熙巳 日本被団協代表委員
⚫︎各党参加者
自由民主党:寺田 稔 衆議院議員 (党被爆者救済と核兵器廃絶推進議員連盟会長)
日本維新の会:斎藤 アレックス 衆議院議員(党政務調査会長)
国民民主党:玉木 雄一郎 衆議院議員(党代表)
中道改革連合:小川 淳也 衆議院議員(党代表)
立憲民主党:水岡 俊一 参議院議員(党代表)
公明党:竹谷とし子 参議院議員(党代表)
チームみらい:峰島 侑也 衆議院議員(党国会対策委員長)
日本共産党:田村 智子 衆議院議員(党委員長)
れいわ新選組:天畠 大輔 参議院議員
社会民主党:福島 みずほ 参議院議員(党首)
⚫︎主催NGO参加者
川崎 哲 核兵器廃絶日本NGO連絡会共同代表/ICAN国際運営委員
浅野 英男 核兵器をなくす日本キャンペーン コーディネーター
※参政党と日本保守党は招待状に対して無回答、欠席となりました。
以下では、討論会の様子を報告します(公開部分のアーカイブはこちらからご視聴いただけます)。
まず始めに、日本被団協代表委員の田中熙巳さんがあいさつをしました。

核をめぐる日本の情勢は厳しさを増しており、深く心配している。日本は戦争被爆国として世界のなかで核廃絶の先頭に立っていかなければならない。そのことを願って、今日の討論を成功させていきたい。
続いて、各党による基本姿勢の表明や発言が行われました。今回のテーマは、①TPNW第1回再検討会議に向けた日本の対応、②非核三原則の見直しについて、でした。
以下、各党参加者の発言要旨をご紹介します。

核不拡散条約(NPT)再検討会議の報告とTPNW第1回再検討会議について発言したい。
NPT再検討会議では、残念ながらコンセンサスによる成果文書は出なかった。とはいえ、NPTが、核に関する「国際的な法的枠組み」かつ「対話・信頼醸成のメカニズム」として重要な役割を果たすことは変わらない。
今回の再検討会議では、イラン核問題やウクライナ戦争、核軍縮の進展に対する不満、核実験、核共有などをめぐり強い対立が見られた。他方で、NPTプロセスの強化(核兵器国との質疑応答を設けるなど)や、核兵器国によるリスク低減に向けた対話など、ポジティブな内容も成果文書案にはあった。文書案は採択されなかったが、これらのアイデアは残る。国連総会第一委員会など他のフォーラムで、これらを前に進められないだろうか。
NPT再検討会議で成果文書が出なかったからこそ、TPNW第1回再検討会議の重要性がより一層大きくなる。TPNWはNPTに対立せず、補完するものである。とりわけ「核使用の人道的影響」や「核被害者援助・環境修復」は全ての国々から賛成を得られるような共通事項である。日本政府にも、会議へのオブザーバー参加をぜひ検討していただきたい。

自民党の原爆議連として(政府に対する)提言を出した。「黒い雨」問題をはじめ被爆者救済の強化、核の威嚇への強い批判、被爆の実相の継承・情報発信の強化を申し入れた。
非核三原則は、わが国の国是とも言える大変重要なものである。過去6度の決議や政府答弁の積み重ねがあり、重いものだ。戦争被爆国として、核なき世界への発信力をもつためにも、当然堅持すべきものである。党内での安保三文書見直しの議論でも、非核三原則の堅持は当然のことであり、見直し論は一切出ていない。
NPT再検討会議の結果は残念だったが、我が国が主導した教育(に関する共同声明)で110カ国を超える賛同を得るなど、一定の成果もあった。粘り強く、核保有国の核軍縮と核拡散防止に取り組んでいきたい。

我が党は現実的な外交・防衛政策を掲げているが、それは同時に「極めて抑制的」でなければならないと考えている。
非核三原則については、基本政策の中で「堅持」を謳っており、唯一の戦争被爆国としての国是であり、その堅持は我が国の揺るぎない信念・矜持である。綱領には、核兵器廃絶を目指すと明記している。核兵器禁止条約の会議にはオブザーバー参加を求めていきたい。
仮に、こうした大原則(非核三原則)を見直すことになれば、NPTとの矛盾が生じ、関係各国と築いてきた信頼を失うことになりかねない。

2024年に日本被団協がノーベル平和賞を受賞したことは、被爆者の歩みが世界に評価されたものといえる。私たちはこの受賞を称えるだけで終わってはならない。被爆者の声を日本政府の具体的な政策と行動に変えていかなければならない。
政府は、NPTを核軍縮・不拡散の礎と位置づけている。それならば、再検討会議で合意に至らなかった障害を検証し、次の行動につなげる責任がある。その重要な機会が、秋のTPNW第1回再検討会議ではないか。会議へのオブザーバー参加を政府に強く求める。
また、非核三原則の堅持を強く求める。これは単なる歴代政府の政策ではない。唯一の戦争被爆国として日本が核兵器にどう向き合うかを世界に示してしてきた国是である。国会決議でも確認されており、一政権の判断で変更できるものではない。核艦船寄港の寄港や核共有に道を開くのか、そうした議論を曖昧に進めれば、日本が核兵器の運用・使用計画に組み込まれる危険がある。

公明党は、結党から一貫して核廃絶を党是として掲げ、平和外交に取り組んできた。現在、中道勢力による新たな政治の枠組みが議論されているが、この原点はいささかも揺らがない。むしろ、それを強化していこうというものだ。
我が党の「平和創出ビジョン」では、非核三原則の堅持、TPNWへのオブザーバー参加、北東アジアでの対話の仕組み、核兵器の運用へのAI利用を認めないルール作りなどを提言している。防衛力の強化だけでは平和は築けない。軍縮外交もまた安全保障の重要な柱であり、(それらは)両輪である。

チームみらいは、平和主義、専守防衛、非核三原則の堅持を公約に明記している。安全保障環境の変化や新しい脅威に備え国民の暮らしを守ることと、非核三原則の堅持は矛盾せず、両立できると考えている。見直しを求める意見に対しては、なぜそれが必要なのか、具体的な脅威分析や他に取りうる手段の検討がなされているのかをしっかり問うていきたい。
TPNW第1回再検討会議においては、核保有国と非保有国の隔たりを埋めるために日本が力を尽くすべきである。我が党が大切にする「分断を煽らない」という価値観にもとづき、客観的なデータと国民の声を中心に据え、議論にのぞんでいきたい。

NPT再検討会議において、参加国の7割以上が、第6条にもとづく核軍縮への誠実な協議を核保有国に求めたことは重要な成果である。この会議でも重要な役割を担ったのは、TPNW締約国であり、日本政府が一日でも早くTPNWに批准することを求めたい。
日本政府は、日米同盟の「核の傘」、核抑止の強化を理由にTPNWに背を向けている。しかしこれは、いざとなれば核を使用するという核使用容認の立場にほかならない。核の非人道性を訴えてこられた被爆者の皆様の運動を踏みにじるものである。また、抑止の破綻という現実的な危機を全く見ていないことも意味する。軍拡競争が、緊張と戦争の危険性を高め、悲惨な戦争に至ることは歴史が証明している。
核戦争を起こさせない唯一の安全保証は、核兵器の全面禁止・廃絶である。日本政府はTPNW再検討会議に少なくともオブザーバー参加し、こうした核抑止の議論に正面から向き合うことを求める。

原爆の惨禍を忘れないでください。
被爆81年を迎えるなか、閣僚から非核三原則の見直しにつながる発言が出るなど、核の恐ろしさに対する意識が薄れていることに強い危機感を抱いている。
NPTが厳しい状況にあることは明らかだ。全ての国は、核兵器を禁止するTPNWを核廃絶に向けた枠組みにすべきだと考えている。
核共有についても認められない。2022年のTPNW締約国会議での国会議員会議では、NATO加盟国の議員から、核共有は核保有国の兵器が押し付けられるだけで、何の権限も与えられないとの批判があった。日本が攻撃対象になりうる核兵器を押し付けられなければならない道理はない。
日本政府はTPNW再検討会議に最低限でもオブザーバー参加し、同条約を批准すべきである。

社民党は、日本が核兵器禁止条約(TPNW)を批准し、TPNW再検討会議に最低限でもオブザーバー参加すべきだという立場で積極的に行動をしていく。
昨年3月のTPNW締約国会議に参加した。被爆者の方々が会議を牽引し、核保有国の国会議員も参加。広範囲に世界で力を合わせようという場にいられた。そこに日本政府がいないことが本当に残念だった。
国会では核軍縮を考える超党派の議員勉強会が発足した。超党派で国会での議論を高めていきたい。
非核三原則や原子力潜水艦の保有が議論になっていることに断固反対する。国会で、非核三原則は国是かと質問したところ、外務大臣は国是であると答弁した。しかし、将来も国是として維持するかについては言明がなかった。国会、政府、国民の役割は大きい。秋に向かって全力を尽くしていく。

NPT再検討会議で成果文書が採択されなかったことは非常に残念だ。一方、イランやウクライナの紛争などがあるなか、核兵器の使用を踏みとどまれているのは、皆さまの努力の成果が最後の砦となっているのではないかと思う。
TPNWとNPTは矛盾しないと考える。NPT第6条の一環としてTPNWを捉えることができるのではないか。核保有国と非保有国をつなぐ役割を日本が果たすことの重要性は色あせない。TPNW再検討会議には日本もオブザーバー参加し、被爆の実相や環境回復・被害者救済など、核保有国・非保有国が共通して合意できる分野で具体的な成果を求めていくべきである。
直近の大きな変化として、クロードミトスの登場など「AIの登場」を挙げたい。かつて核物質を国際管理しようとしてきたNPTの仕組みと同様に、AIに対しても国際的な管理の仕組みを導入することが重要ではないか。また、さまざまなセキュリティを突破できるAIの登場によって、核保有のリスクやコストが上がっている。核保有国にとっては、核軍縮をすることが合理的な判断になってきているともいえる。AIの登場による新たな安全保障論や核管理のあり方を切り開いていくことを日本が主導すべきである。

我が国は唯一の戦争被爆国であり、核兵器のない世界の実現に向けた強い責務を負っている。この理念は揺るがしてはならないと考えている。
同時に、核使用のリスクが高まっている。ロシアによる核の威嚇や、将来的にはフランス並みの核弾頭数を保有するとされる北朝鮮、核増強を進める中国など、我が国を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している。日米同盟に基づく適切な抑止力を維持・向上させ、国民の命と平和を守り抜くことが不可欠である。
TPNW第1回再検討会議に向けては、日本がオブザーバー参加することも含め、対話の足がかりを模索し、具体的かつ実践的な核軍縮のステップを進めていくべきだ。
非核三原則の議論においても、抑止力と核軍縮という2つの要請を両立させる責任ある外交・安全保障政策を推進していく。

また、討論会では、川崎哲さんが「核兵器禁止条約第1回再検討会議に向けて」(資料はこちら)、浅野英男さんが「非核三原則『持ち込ませず』をめぐる論点」(資料はこちら)についてそれぞれ問題提起を行い、それに続いて非公開での討論が実施されました。
インターン 髙原夕城斗