【開催レポート】第3回 核兵器禁止条約フォーラム「核兵器のない東アジアへ〜中国・北朝鮮との対話の道を探る〜」
長崎原爆の日を前にした8月7日、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館にて、第3回核兵器禁止条約フォーラムが開催されました(アーカイブ動画はこちらからご覧いただけます)。
核兵器をなくす日本キャンペーンでは、日本が核兵器禁止条約に参加するためのステップとして、東アジアでの緊張緩和に向けた対話・外交を掲げています。そこで、今年のフォーラムは「核兵器のない東アジアへ〜中国・北朝鮮との対話の道を探る〜」とのテーマで開催しました。
本フォーラムには、ピースデポ代表の鈴木達治郎さん、愛知大学教授の加治宏基さん、広島市立大学准教授の孫賢鎮さん、長崎大学多文化社会学研究科博士後期課程の西山心さんが登壇し、活発な議論が行われました。

フォーラム前半では、鈴木さんが、核兵器のない東アジアを実現するためのヴィジョンについて講演しました。
鈴木さんは、現役の核弾頭数の増加や米ロ間の新戦略兵器削減条約(新START)の失効など、高まる核の脅威を現状を説明しました。また、核抑止に依存することへのリスクについても解説し、例えば、アメリカの核抑止力に依存する日本を含め、同盟国の軍事基地は、他国による核攻撃の最初の標的になるリスクがあることなどを強調しました。
こうした問題意識をふまえ、鈴木さんは、北東アジア地域に非核兵器地帯に設立することの重要性と、それを実現するために3つの安全保障観(共通安全保障、包括的安全保障、協力的安全保障:3C安全保障)への転換を訴えました。中国や北朝鮮が核を保有している現状から非核兵器地帯を創設することは容易ではないとしつつも、創設に向けた対話プロセスそのものが東アジアの平和や安定につながり、そこに意義があると語りました。
講演の最後では、人口の3.5%が市民運動に参加すれば社会が変わるとの「3.5%ルール」を紹介し、核廃絶に向けた市民の連帯を拡大していくことを呼びかけました(鈴木さんの資料はこちら)。

続いて行われたパネル討論では、日本キャンペーン・コーディネーターの浅野英男さんが進行役を務め、中国や北朝鮮との対話のあり方をめぐり議論が行われました。
中国研究を専門とする加治さんは、この数十年における中国の軍事増強や、自国の主権を守るためにあらゆる選択肢を排除しないとする中国政府の立場を紹介しました。日中関係についても、両国が目指す「相互互恵関係」について解釈の違いがあることなどを解説。これらの現状をしっかりと理解しておくことが、対話のためにまずは大切だと語りました。(加治さんの資料はこちら)
朝鮮半島の問題を専門とする孫さんは、北朝鮮の核開発の進展や、北朝鮮の国内政策の変化、核政策の法制化などの動きを解説しました。こうしたなか、朝鮮半島の非核化に向けた歩みを進めていくためには、北朝鮮のインフラ整備など、非軍事的なトピックでの対話や協力を重ね、信頼を作ってことがまず重要ではないかと述べました。(孫さんの資料はこちら)

西山さんは、現在の武力紛争が、AIやサイバー、ドローン、認知戦などを含めた幅広い領域での戦いになってきていることを指摘。通常戦力の近代化も相まり、自国の核が無力化されうるとの不信感が高まり、核リスクが悪化していると語りました。また、新たな技術が核兵器に関する意思決定などに組み込まれることで、サイバー攻撃や誤作動による意図しない核使用につながる可能性も挙げました。こうした新興技術を規制することは簡単ではないが、同時にそのルール作りに対話の可能性があるのではないかと述べました(西山さんの資料はこちら)。
その後、パネリストや参加者との質疑応答が行われ、日中関係が悪化するなかでも市民レベルの交流を続けていく重要性や、北朝鮮への経済制裁の段階的な解除をテコとする非核化へのアプローチの可能性などが議論されました。
インターン 前田将太