NGO News

2022年06月19日

ユース・ブログ①:核兵器廃絶のプロセスとユース世代との交流~ユースオリエンテーションに参加して

本日から、ウィーンで行われる核兵器禁止条約締約国会議および様々な企画について紹介・コメントするユースブログの発信をします。本日17日の担当は、核兵器廃絶日本NGO連絡会/日本反核法律家協会の遠藤あかりさんです。

私は、この期間の最初のイベントとして、ウィーンにあるアイルランド大使館で開催されたユースオリエンテーションに参加しました。オリエンテーションでは、核兵器禁止条約(TPNW)の締約国であるメキシコが持つ締約国の視点、核兵器使用と密接にかかわる人種差別、核兵器の威力が環境や人体に大きな影響を与え、ジェンダー問題を深刻化させていること、アートの視点から社会的意識を考えること、マーシャル諸島の核実験被害などの話がありました。

日本からはKnow Nukes Tokyoの高橋悠太さんを中心に、ヒバクシャとして木戸季市さん、家島昌志さんがお話されました。また日本の高校生2人(広島、長崎から1人ずつ)が、平和へのメッセージを発信しました。

このユースオリエンテーションには、アイルランド大使やメキシコ二等書記官をはじめとする外交官、アメリカ、ジンバブエ、マーシャル諸島、カナダ、日本など様々な国から若者の参加がありました。締約国会議に向けてそして核兵器廃絶に向けて、世界中が注目し、アクションが起きていることを肌で感じることができました。

特に印象深かったのは、締約国であるメキシコ二等書記官が言及した国と国との連帯についてです。先日のグアテマラの批准により、すべての中米諸国がTPNWの批准国になりました。1962年のキューバミサイル危機などを経験してきた中米諸国は、自国や周辺諸国の安全保障は、核によって守られるものではないという結論を出したのです。重要なのは、二等書記官が発言した「楽観的現実主義」という立場です。自国を守るためには、徹底的に現実を分析する必要があります。考え抜いた先に、核兵器による安全保障は存在できないという答えが出されたということなのです。多くの人は核兵器が使われることのない世界、核兵器の脅威に怯えることのない生活を望んでいます。核兵器廃絶という目標をただの「理想」とせず、目標達成のために戦略を立て、それに相応しい努力をすることが重要である、と伝えてくれたのだと思います。

 このユースオリエンテーションの中で繰り返し共有されたのは、若い世代に対する教育の重要性です。これからさらに世代交代が進むにつれ、核兵器がもたらす非人道的な被害をイメージすることが難しくなっていきます。広島・長崎の被爆証言を直接聞くことができる時間は、そう長くはありません。木戸さん、家島さんがお話された被爆体験を聞いた参加者の多くは、私を含め改めて「ヒバクシャ」の怒りと痛みを受け止めたと思います。

ユースオリエンテーションの最後には、核時代平和財団代表のイヴァナ ・ヒューズ(Ivana Hughes)さんが、核兵器が戦争に使われてから100年となる2045年までに、核兵器を0(ゼロ)にするべく行動していかなければならないと述べられました。これを達成するためには、世界中でアクションを起こしている若い世代が、国や世代を超えて交流していくことが重要です。これからの1週間、多くの人と交流し、核兵器廃絶に向けた声と行動をさらに盛り上げていきたいと思います。

遠藤あかり(立命館大学大学院博士前期課程2年) 


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