Campaign News

2025年11月02日

Youth Interview ①:髙村凛さん(日本キャンペーン インターン)

活動を始めたきっかけ

 私は現在、大学4年生で国際関係学を専攻しています。

 元々、核兵器というテーマにはずっと関心がありました。母が平和教育に熱心だったこともあり、『はだしのゲン』や『火垂るの墓』などを通して、幼い頃から戦争や核兵器について考える機会が多くありました。ただ、中学、高校と進むうちに、核兵器の問題に触れる機会はほとんどなくなり、関心も次第に薄れていきました。それでも、心のどこかではずっと気になっていたテーマでした。

 そんな私の転機になったのが、大学2年時のポーランド留学でした。この留学中、私にとって大きな影響を与えた出来事が2つありました。

 1つ目は、ウクライナ人のルームメイトに起きた出来事です。普段は明るくて、笑顔いっぱいなルームメイトなのですが、ある日、彼女の実家にロシア軍のミサイルが落ちたという知らせが届きました。ひどく動揺する彼女を前に、私はかける言葉が見つからず、ただ立ち尽くすことしかできませんでした。この時の「無力感」がそれまでどこか遠い国の出来事だと思っていた戦争や平和の問題に、もっと真剣に向き合いたいと思うきっかけになりました。

 2つ目は、現地の留学生たちとの議論です。国際政治を専門的に学ぶ留学生同士でヨーロッパの政治や世界情勢について話すと、それぞれの国や地域の歴史や立場を踏まえて、堂々と意見を交わしていました。それに比べて、私は自分の知識の浅さを痛感し、うまく自分が言いたいことを英語で表現できず悔しい思いをしたことを覚えています。その中で唯一、自信を持って話せたのが「日本の立場」だったのです。その経験から、特に核兵器について、被爆国としての日本の経験や考え方をさらに具体的に、自分の言葉で語れるようになりたいと強く感じました。この思いが、今の自分が核兵器の問題に携わる原点となっています。

 こうした問題意識から、帰国後は平和学のゼミに所属し、核抑止についての研究を行っています。しかし、研究を進めるうちに、「理論だけではなく、実際の社会で核兵器の問題がどのように扱われ、どんな議論が行われているのかを知りたい」という思いが強くなっていきました。

 そんな時に知ったのが「核兵器をなくす日本キャンペーン」の活動です。ここなら、自分が研究していることを実際の活動に繋げられるかもしれないと感じ、学生インターンとして参加することを決めました。

インターンでの活動内容

 インターンでは、核兵器に関する記事の翻訳や国会議員の意向調査、SNSをはじめとするキャンペーンの広報、核政策やメディア報道のリサーチに取り組むなど、本当に幅広い業務に携わらせてもらっています。毎週月曜日と水曜日に事務局のスタッフやボランティアの方との打ち合わせを行っています。

 活動の中で特に印象に残っているのは、被爆80年に合わせて長崎で開催された「核兵器禁止条約フォーラム」に携わらせていただいたことです。

 このイベントは、核抑止をめぐる課題や核抑止からの脱却に向けた安全保障のあり方について、専門家や市民が意見を交わすものでした。イベント前に実施された専門家間での意見交換会にも参加させていただいたのですが、卒論で引用している本や論文を書いた教授に直接お会いでき、まるで有名なスターに会ったような気分でした。

 実際のフォーラムでは、専門家の方々が真剣に議論する場に立ち会うことで、核兵器をめぐる問題の重みや複雑さを肌で感じました。その時、これまで自分が理解していたつもりだったことが、いかに表面的だったかに気付かされました。終了後には、イベントの報告レポートを執筆させていただきました。

 こうした活動を通して私が一番強く感じたのは「人との繋がり」の大切さです。普段はオンラインでインターンをしているため、同じテーマに関心を持つ方々と直接会って話す機会はなかなか多くありません。ですが、長崎でのイベントでは、他のNGOや市民団体、メディア関係者、専門家、そして一般の会社員の方など、様々な立場からこのテーマに向き合う人たちと出会うことができました。

 私の大学では、核兵器を専門に勉強している学生は少ないのですが、こういった活動の場に参加してみると、同じような関心を持っている方が沢山います。皆さんがこの問題に興味を持ったきっかけを聞くたびに、「こんなにも多様な想いが集まっているんだ」と感動しますし、自分より知識が豊富な方ばかりなので、とても勉強になります!

 今はオンラインでの活動が中心ですが、これからはもっとイベントの企画や運営にも積極的に関わっていきたいです。長崎で、専門家の方々や様々な関係者の方々と直接お話しする中で、核兵器の問題をもっと深く知りたいという気持ちが強くなりました。だから今度は、私がそうした場を作る側になって、核兵器の問題に関心を持つ人同士を繋げたり、新しく関心を持ってくれる人にとっての「入り口」になるような体験を届けたいと思っています。

おわりに

 こうして話していると、核兵器や戦争に関する特別な背景があるように思われるかもしれません。でも、私は神奈川出身で、広島や長崎の出身でもなければ、被爆の経験を持つ親戚がいるわけでもありません。それでも、心のどこかでずっと気になっていたテーマをもっと知りたいという気持ちで、一歩を踏み出してみました。その一歩をきっかけに、この分野に携わる方々と関わることができ、自分がこの分野でどう社会に貢献できるかを主体的に考えられるようになりました。

 「核兵器の問題には興味あるけど、何から始めたらいいかわからない」「専門的な知識もないのに、活動に参加してもいいのかな?」そう感じている方もいるかもしれません。実際、私自身もそうでした。でも、少しでも興味があるのであれば、ぜひ日本キャンペーンの活動を覗いてみて欲しいです。事務局の方々は、知識と経験が豊富で、学生の相談にも親身に対応してくださいます。進路の準備や卒論で忙しい時期もスケジュールに配慮してくださるので、学業と両立しながら自分のペースで活動を続けられています。

 日本キャンペーンでの活動を通して、核兵器の問題をより身近に感じるようになり、このテーマに向き合うことが自分自身の課題にもなっていきました。この感覚を、これから活動を始める皆さんにも、ぜひ経験してもらえたら嬉しいです。ご参加、お待ちしています!

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