日本の超党派国会議員勉強会-市民社会はどのようにしてそれを実現したか?
2025年11月25日、新たに発足した「核軍縮推進」超党派国会議員勉強会の第1回会合が東京で開かれた。この超党派グループの発足は、国会議員への働きかけを長く続けてきた日本の市民社会にとって大きな成果である。
このグループには、与野党の8政党から22名の国会議員が参加し(2025年11月時点)、2026年11月までの1年間にわたって活動する。核兵器禁止条約(TPNW)や核兵器不拡散条約(NPT)、日本の核政策など、核軍縮に関するテーマについて毎月、勉強会が開催される。また、ICANのパートナー団体であるピースボートの川崎哲氏と核兵器をなくす日本キャンペーンの浅野英男氏がアドバイザーを務める。
この超党派グループは、市民と国会議員によるたゆみない努力によって実現した。特に重要だったのは、次の4つの動きであった。
① 国会議員への継続的な働きかけ:毎年行われてきた超党派の国会議員討論会
核兵器廃絶日本NGO連絡会(日本のNGO45団体と個人で構成される連合)は、2018年から毎年、広島平和記念式典の前日である8月5日に広島で超党派の国会議員討論会を開催してきた。この会議では、党首レベルをはじめ各党から代表者が出席し、日本の核軍縮政策について意見交換が行われている。
この枠組みを継続することで、国会議員が、核軍縮問題に関する超党派での対話の重要性を理解することに貢献した。
② 核兵器禁止条約への支持の高まり:日本被団協への2024年ノーベル平和賞授与
2024年12月、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞した。長年にわたる被爆者の証言活動と「核兵器のない世界」に向けた取り組みが国際的に認められたのである。日本中の市民が受賞を祝福し、多くのメディアが核兵器に反対してきた被爆者の闘いを取り上げた。
2025年2月8日・9日には、核兵器をなくす日本キャンペーンの主催で、東京で「核兵器をなくす国際市民フォーラム」が開催された。2日間にわたって行われたフォーラムには、国内外から約900人が参加した。このフォーラムは、被爆80年の開幕にあたり、核廃絶に向けた勢いを生み出すことにつながった。その翌日には、フォーラムで議論された提言を共有するため、日本の国会議員と海外の専門家による討論会も実施された。
同時に、核兵器禁止条約に対する国民の支持は高まっていった。2025年4月に実施された世論調査では73%が日本の条約参加を支持すると回答した。これらの動きは、日本の国会議員が核軍縮に向けたさらなる政治的リーダーシップを発揮し、とりわけ核兵器禁止条約に日本が関与していくあり方を模索していくことを後押しした。
③国会議員のエンパワーメント:第3回締約国会議への参加
2024年12月、当時の石破茂首相は核兵器禁止条約の第3回締約国会議への参加を「真剣に検討する」と述べていたが、2025年2月に日本政府は出席を見送ることを発表した。日本からは市民社会の代表とともに、6名の国会議員がニューヨークで開催された同会議に出席した。
ここでは、ICANの国会議員フォーラムに参加したほか、国連本部で会議を傍聴した。世界の熱気と核廃絶を求める声を目の当たりにし、グローバル・ヒバクシャの声を直接聞いた国会議員たちは、帰国後に何らかのアクションをしようと約束し合った。こうして渡航した国会議員のあいだで、日本で新たな超党派グループを立ち上げるという構想が浮かび始めた(これらの国会議員はのちに、超党派勉強会の共同世話人や事務局に就任した)。
④市民社会からの明確な要請
2025年8月5日、核兵器廃絶日本NGO連絡会と核兵器をなくす日本キャンペーンは、被爆80年の節目を刻む国会議員討論会を開催した。この会議のあと、第3回締約国会議に参加した国会議員たちは、超党派グループを立ち上げる動きを加速させ、他の国会議員、特に与党議員との真剣な協議を開始した。
核兵器をなくす日本キャンペーンは、国会議員に面会するなどして、その進捗を継続的に確認していった。それと同時に、10月9日に日本被団協が与野党の国会議員らと面会し、核兵器廃絶と被爆者援護に関する超党派の枠組みを設立するよう求めた。この被爆者の呼びかけは、超党派グループを立ち上げる政治プロセスをより強固なものにし、11月25日に超党派勉強会の発足がついに実現したのである。
その第一回会合は成功裏に終わった。川崎哲氏が講師を務め、核兵器禁止条約の第3回締約国会議における成果について説明するとともに、2026年に行われるNPTと核兵器禁止条約の両再検討会議に向けて、日本がどのように核軍縮をリードできるかについて語った。
この会合には、日本被団協の代表も参加した。代表委員の田中熙巳氏は「勉強会での議論を政府内で生かしてほしい」と述べ、勉強会への期待を示した。
その一方、国会では、新たに就任した高市早苗首相が、日本の非核三原則を将来も堅持していくかについて明言を避けていた。これにより、非核三原則が将来的に見直されるのではないかとの懸念が高まり、国内外から非核三原則の堅持を求める声が相次いだ。
この問題は、超党派勉強会の会合でも取り上げられた。広島選出の自民党・寺田稔衆議院議員は「非核三原則は堅持されるべきだ」と強調した。
田中熙巳氏は、日本が核兵器禁止条約に署名し批准することで非核三原則を実質的に法制化することができる。したがって日本は条約に参加すべきだと主張した。
原文 :ICANウェブサイト “Japan’s new cross-party study group — How did Japanese civil society make it happen?”
核兵器をなくす日本キャンペーン・コーディネーター 浅野英男
翻訳:インターン 髙村凜
